未完成なリズム
文字数 1,253文字
未完成なリズムを奏でる香菜・真奈美・冬馬は、完全に恵都・美園が作り上げるリズムについていけずにいた。何となく分かっていた……。この三人が、未完成なリズムを奏でていることも……。
今は、「勇者のマズルカ」の練習中。(マズルカ→テンポは八分の六が多い。二拍目が若干強くなるのが特徴。ワルツとは異なる。)やっぱりこの三人は、ワルツ調になってしまっている。
先程より音符の扱いが雑だったような気がする……。
歌音は、三人を見つめるも視線をそらされてしまった。くっそー……。
歌音の味方である恵都と美園、歌音のことを認めていない香菜・真奈美・冬馬……。
この対立によって、パート間の一体感がなくなりつつあったのだ。
何故なら、歌音を含めたクラスメイトたちを信用していないのが分かってしまったのだ。
彼らを阻む溝は広く、深く……闇も深い。まだまだ心を開いていないクラスメイトたちも多いけれど、歌音は必ずこの三人を何とかして救いたい、と思うのであった。深い闇と溝に飲み込まれないように……。
歌音は、これらの事件を解決するために今回は、恵都・美園・圭の助けを借りよう、と考えている。
これらの三人の感情は、どこから芽生えたものなのだろうか……。考えても今は答えを出せない。
今は、パーカッションパートのパート練習につきあおう……。理由を知るためにもっと音楽を奏でよう。