デートのお誘い
文字数 2,149文字
歌音は寒気に襲われ、目を覚ました。辺りを見回すが、何もない。強い風の音とガタガタと窓が音を立てているだけだ。時々聞こえてくる明里の寝言ぐらいしか聞き取れない。
しかし、歌音にはもう一つの音を聞き取る事ができた。
しかし、クラスメイト数名に危機が迫っている事には間違いない。これは、近々起きるだろう……。
歌音は、ベッドの近くに置いてあったペットボトルの水を飲み干した。冷たい水がカラカラに渇いた喉を潤してくれる。飲み干した空のペットボトルを洗い、ゴミ箱に捨てた。
圭の事だからいつも通り、音楽のスランプなんだろう。きっとそうだ。歌音は勘違いしていた。この思いはきっと誤解を招いてしまっている事に歌音も気がついていない。
圭と別れた歌音は早速お出かけの準備に取りかかった。寮の自室に戻ると明里が外出の準備をするためにクローゼットを開け、洋服を選ぶのに必死になっている。
すると、明里は嬉しそうに喜ぶ。
歌音は、圭とのお出かけを楽しみにしていたので笑顔を見せる。
歌音も明里から借りた黒のレースのついたワンピースに合う鞄を探す。見つかったのは、白のショルダーバッグだった。歌音は、その中にスマートフォンとナリスを鞄の中に突っ込む。