夕刻の熱情
文字数 1,657文字
やっぱり悠と勝己の音が喧嘩しあっていて合奏にならない。
今日の練習は後、夜を残すのみとなり、夕食までの二時間は、休憩にあてられることになっていた。
入浴後、歌音は結愛と一緒にコーヒー牛乳を飲んでいた。近くには、圭・悠・明里もいる。少し離れたところに勝己が一人でいるのが見える。
まだ夕暮れが綺麗な時間帯……。少し出掛けようか……ということになり、五人でホテルのテラスにやって来た。綺麗な夕暮れ……。町中では見られない光景に歌音たちは声を失う。
勝己が現れ、結愛を人質に取るかたちになる。
どういうことだ? 何故、結愛が勝己に……。
悠は、土下座はやるつもりはないみたいだ。圭は、何としてでも結愛ちゃんを取り戻そうとしている。明里は見ての通り、状況を把握できず混乱しているのが分かる。
遂に、一分経ってしまった。
そして、勝己が告げる。
そして、こう告白する……。
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ナリス、すみません……。止められませんでした!! 大口叩いてすみませんでした!!
しかし、徐々に逆上せてきた結愛がふらつき、唇同士が離れる。
圭が、顔を赤くさせて怒っているのが分かる。悠は、目の前が真っ白になっている……。明里は、一人で興奮している……ちょっと空気を読んで欲しい。
因みに歌音は、無、だ。何も考えられない。確かに言っていた気がする……。このクラス決めの時、相馬先生が……。
歌音は、腰を抜かしている結愛と今にも勝己に殴りかかりそうな圭をどうするかを必死で悩むのであった。