予言者の悩み
文字数 2,233文字
冬が近づく仙台では、徐々にイルミネーションの準備などが始まっており、業者が木に登り、電飾等を巻きつけていた。
時々、肌を撫でる北風が冷たく感じる。この日も朝、圭は一人で通学していた。何故か距離を感じるのは気のせいなのか……。
これも圭と悠が喧嘩を始めた日から始まった変化なのである。
『愛している』の言葉。それを歌音や明里は聞きたかったのだ。遠くにいる愛しいあの人からの『愛の告白』を聞きたいのだ。それか『愛の旋律』を聞きたい。
歌音は、ゆっくりとココアを口に含む。甘くて優しい味が口の中に広がる。一成がいれてくれたココアに似ている。それぐらい優しい味。
とにかく、悠の話を聞くのが一番手っ取り早い。
それを打ち破ったのが意外にも悠であった。
歌音は、まだ聞きたいことがあるが、どうしようか悩む。
それを見ていた悠は、更に話を続ける。
しかし、歌音には嫌な予感しかしなかった。圭と悠が仲直りしたら、歌音と圭の関係がどうなるのか……。それを考えると胸が苦しくなってしまう。一一月も後半戦にさしかかる中、歌音の心の中はなかなか晴れてくれなかった。