色を失った世界
文字数 2,062文字
皆、練習している。
ある人影に歌音は目をやった。
平謝りする双葉と腕組みをして仁王立ちしているミミがいた。嫌な予感しかしない……。
ミミの大きな周りに通る声により、皆の練習がピタリ、と鳴りやむ。
皆が、ミミと双葉を見つめる。
ミミが、歌音と目が合う。すぐに視線を反らされてしまったが、すごく後悔している、と歌音に伝わってきた。下を向いて落ち込んでいる双葉に話しかける。
本当に大丈夫なの?……全然大丈夫に見えないよ、と歌音は思うのであった。
そのあとも、「夢灯籠」のソロの練習に時間をとられてしまう。どうしてもユーフォニアムのソロ八小節がうまくいかないのだ。
「前前前世」「スパークル」「なんでもないや」に進みたい。そう思うと気が重くなってきた。
どうしてもユーフォニアムのソロにフルートが勝ってしまう……。
遂に、歌音の焦りは限界を達し、イライラに変わってくる……。何回もリピートされるユーフォニアムソロ……。フルートが勝ってしまう……。
歌音は、限界に達した!!
歌音は、この三人を同時に救済しなければならない……。
歌音は、色が失われようとしているこの世界を救おう、と心に誓うのであった。