音楽の女神と音楽の英雄のデート①
文字数 2,212文字
歌音は、次のことを考える。
どうすれば二人を闇の中から救い出せるのかを……。触れてはいけないもの……果実の存在を……。命の灯火と音楽の魂を消さないように……。それだけは、絶対に歌音も守らなければいけないルール。この世界のルールである。
このクラスの誰か一人でも欠けてはならない……永遠のルール。このゲームを制するのは、歌音なのか……また違う誰かなのか?
それについては、現時点で予測するのは、不可能に近いのだから……。
今日は、そういえば日曜日だった事を歌音は思い出した。
休みの日曜日……。久しぶりの休み……。
歌音は、思い出したかのようにメッセージを確認した。
そして、歌音の叫び声が響き渡る。
今日は、勾当台公園に遊びに行く約束をしていたのである。それにしても、この寮は広すぎる。男女で住んでいる階は異なるが、男女の行き来は自由であった。何て自由な学園なのだろうか……。
歌音たちは、学園を出て列車に乗り込む。仙台の地下を通る鉄道は、今日は人でごった返していた。仙台駅前のパルコを目指している人が多いみたいだ。
歌音たちは、仙台駅で降りていく人を見つめる。
リア充達が手を繋いでいる(恋人繋ぎ)のを見て、爆発しろ、と思ってしまったのは言うまでもない。
しかし、圭は何とも思ってないみたいだ。
そして、今回のターゲットを圭が見つける。
しかし、時はすでに遅かった。
圭に口を手で押さえ込まれ苦しむ歌音を後目に、大河と郁に気づかれてしまったのであった。
すぐに大河と郁が手を繋ぎながら、圭と歌音の近くにやって来た。
歌音は、苦しそうに新しい空気を吸い込み、ようやく落ち着きを取り戻しつつあった。
それに、どんどん郁が近づいてきて、気がつくと目を輝かせた郁の顔が歌音の近くにあった。
後に残されたのは、疲れはてた歌音とニヤニヤしている圭だけであった。
周りのリア充たちは、いつの間にかいなくなっていたのも言うまでもない……。