作戦三日目②
文字数 2,134文字
そんな事を考えている間に講堂に到着していたのだ。
いつも通り「マナティー・リリック序曲」「三日月の舞」「はとポッポの世界旅行」「森のスケッチ」を通してみる事にする。もちろん、何回もやっているから録音はとっている。最初から最後まで……もちろん、言い合いも醍醐味だということで録音の対象になってしまったのだ。歌音は、苦虫を噛み潰したのかのような表情を浮かべるも、すぐに元の表情に戻した。録音には、歌音が嫌そうな顔をした、ということは分からないだろう。問題は、新聞部や新聞社とかである。あの人たちは、濃厚に歌音たちの行動を記事に載せてくる歌音からしても嫌な類いの人たちであった。
しかし、そんな事など歌音には関係ない。ただただ、みんなで曲を作り上げるために指揮をとる……ただそれだけだ。
合奏が始まった。
今日初めての合奏だ。出だしのフルート・クラリネット・オーボエの連符のかけあいは、ずれる事はなくなった。金管の威風堂々さがまだまだ足りないが、昨日よりも良い合奏が出来ている。こんなにもうまくいくのは初めてだ。トランペットのソロも丁寧に滑らかに吹き上げてくれた。流石は、圭だ。しかし、全国には圭レベルの人達が、うじゃうじゃといるのだ。……とか言うと、悠レベルの人もうじゃうじゃと世界には存在している。
これでは、いけない。世界に通用する演奏を歌音は求めようとしたのだ。求めないと世界が終わってしまうかのように……。