まつろわぬ民 節百五拾八

文字数 733文字

 そして、合理思考――技術主義……
 
 階級にふんぞりかえっていることがゆるされない立場であるからこそ、現実にかたちのある実力を身につけようとする……
 田畑――収穫……石高……
 くえなくてははなしにならない――くえるのが第一だ……
 石、という、米穀の収穫高をあらわす単位で一国の富力をしるしてきた……十九世紀まで……
 どこまでも、そぼくな百姓の現実感覚から、遊離しなかった――
 矛盾している――一方で、八幡、という、異端を是認する暗黙の了解をとりつけておいて、表面的には、飛躍や投機をきらう、百姓の現実感覚を基調とする……
 本音と建て前――
 じつは、日本人は、自分で思っているよりも、よほど開放的にできているかもしれない――
 地に足着けてでしか、ものをかんがえられない……現在でも、日本の技術はゼロからあたらしい概念をくみたてるのはにがてだが、いざ、着地すべきモデルをあたえられると、たちまちそれをものにして、量産する……
 そのくせ、あんがい浮華にながされる――きらびやかなブームがとうらいすると、すぐに魅せられて、それを追いかけるのに夢中になる……技術界でも、たとえば、国際的な新潮にたいし、日本人が無関心でいられるだろうか……?  異端に飛翔し、新世界にいどむ意気は、いつだって、八幡大菩薩が(よみ)されるところだ……
 
 現在の日本人の性格は、かなりのところ、秦と八秦(やわた)のミームが、作用しているのだ。われわれのなかには、秦氏がいる……脳の最奥には、依然、恐竜のままの部位があるということだが――
 日本人の根っこには、まだまだ、この渡来人ががんばっている……!
 われわれは、平安時代の風雅と非合理思考と決別した武士の子孫だが、そもそも、その武士の根幹には、秦氏がいる……
 
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