ひょうすべの誓い 節八拾三
文字数 244文字
輝元は、人間をしらなかったのだ――人間の偉大さはしっている。それこそ、祖父元就から始まり、おのれが対峙した織田信長、降った秀吉……偉人豪傑には、ことかかなかった……
ただ、彼はしらなかったのだ。
人間の、卑小さを――
黄金の夢も、気高き理想も、狂いのない盛挙も、玉石混淆の人々がむらがることで、いつしか、正道を逸れる――
共通見解は、いつだって、最小公約数に繰り下げられる……いや、衆人に最大公約数を夢見させる魔力が失われたとき、小人が台頭する……最大公約数から落後した小人が。