まつろわぬ民 節百四

文字数 323文字

 
 作者は、じつは、とまどっている。壱岐や豊前から出雲、伊予、畿内、近江、美濃……というあんばいにすすんできた秦氏の東征(ウラジオストク)とも言える運動は、てっきり、つぎは、関東――広大で肥沃な関東平野にむかうものだと考えていたのだ。
 じっさい、関東は、古来から、百済や新羅の渡来人がいくたびも入植している。武蔵国には高麗郡や新羅郡が置かれている。渡来人の開拓基地であり、中央から離れた秦氏が参入するには好適だったはずなのだ。
 先に述べているとおり、「(はた)」という地名は関東におおい。この地に入り、お得意の治水技術で坂東太郎(利根川)を御し、広大な新田を拓く秦氏の姿は、容易に想像できる。
 なのに、後世、この地は、千常(源氏系)の秀郷流に占められる。
 ――げせない。
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