まつろわぬ民 節百四拾九

文字数 301文字

 極論を言えば、平氏も源氏もあるものか……
 
 ただ、野には八幡のみがあった。
 
 すでに、南無八幡大菩薩のこえが、地方にみちみちていた……ただ、こっけいなのは、この声望をになうべき法王の立場が、空位でありつづけたことだ。八幡は八秦でありながら、祭神は応神天皇、宗像三女神、神功皇后……かといって、いざ皇族がうえにたって祭主たりえるには、この渡来人の神は、蕃神(海外の神)の色合いが濃すぎる……!
 
 けっきょくのところ、武士が……源平

が、この地位につくしかなかったのではないだろうか……

がおとしどころだろう……
 
 歴とした皇統でありつつ、臣籍に降下し、地方へ下向した、鄙の(みかど)……異端の王。
 
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