まつろわぬ民 節一

文字数 383文字

     終章、まつろわぬ民(ドーントレス)
 
              ドーントレス【Dauntless】
                 ひるまない、勇敢な、不屈の、おそれしらずの
  【Daunt】おびえている、ダウンしている、の否定形
 

 徐福が、藤原刷雄の邸宅を訪ねたのは、四日後のことだった。雨が降る。親王禅師の呪詛は阻んだものの、天意は別だ。天が望む――この(ひず)みと無理の上に建てられた、無理を通して道理を引っ込めた京を、許さない……そう言っているかのように。
 呪いがなくとも水位は増し、ひたひた、水害の危険が増す。
 (む?)
 刷雄の家は、軒先に、一基、吊り灯籠が下がっている。そこに点っている妖火が、雨天の下、チロチロ、明滅する。刷雄は、目を細めた。
 
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