習合 節卅二

文字数 236文字

 雨は、ずいぶん、弱まっていた。相変わらず、梅雨らしい、不断の気配がある。
 風が吹く。ぱらぱらと、雨粒が、徐福に打ち当たる。風の中には、底冷えがする、というより、なにか、大きく、虚ろなものがあった。虚ろな気配に、ふと、産毛が逆立つ。
 (む、う)
 バサバサ、音がする。兵主神社の方から吹き飛ばされ、地面に突き立ったままの幟だ。赤い地には、牛頭獣身にして、頭上と両手足に武器を帯びた、鼻面がつづまった「人面獣身」の兵主神が、黒く描かれている。
 徐福は、風の吹いてきた方を見た。
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