まつろわぬ民 節廿五

文字数 321文字

  
 「鬼遣らい」矛盾をガンガンと打ち鳴らし、方相氏が、前に出る。
  あ、
  あ、
  阿()あ~。
 罔両が吼える――妖しの蛍火が、ぱっ、と、散る……罔両は、影の周囲のぼやけた箇所……ならば、その本体にひそんでいるものは、なんなのか?
 見えないからこそ、藪の中――蛇が出るか鬼が出るか。
 ぬえが鳴く……
 玄衣、四つ目の鬼面、矛盾を手にした方相氏が、罔両との距離を詰める……
 「烈!」
 皆陣(やぶ)れて前を行く――別段、臨める(つはもの)でも闘う者というわけでもないが、今は、兵主部に与力しているのだ。
  軍人(いくさびと)国の為にと打つ(つつ)の煙のうちに年立ちにけり
 罔両の、茫漠とした躯体がへこみ、風穴が開く……矛は鋭く研がれ、利器(鋭い武器)の切っ先は、魔を退散させる……
 
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