ひょうすべの誓い 節六拾
文字数 469文字
倭寇の振るう長刀は「倭刀」と呼ばれ、白兵戦で大きな脅威となった――西洋の海賊が、カトラスという小ぶりな刀剣で武装しているのと好対照だ。これは倭寇かどうか分からないが、シャム(タイ王国)で、スペインの軍団が「ローニン」に襲われて全滅したという記録がある――
八幡――
秦氏――
倭寇……
なんという連中か……
そういえば、おそれおおいのことながら、宇佐八幡宮でまつられている八幡三神は、主神が応神天皇であり、他二柱は、神功皇后であり、宗像三女神……三韓征伐の英雄的女傑……そして海の女神……
――船乗りは、みずからの乗る船を「女性」「女神」のようにかんがえるという……
おぜんだてはそろっていたのだ。
大陸から、日本へ――異邦から本邦へやってきた、渡来人の氏神の中に。
なぜ、ここまでながながと海賊世間の歴史をはなしているのかといえば、どうも、この海のひょうすべに、秀吉の企図が左右されたように思えて仕方がないのだ。
倭寇の活動が、秀吉に、唐入りを決意させた。