ひょうすべの誓い 節七拾三

文字数 388文字

 島津義弘(よしひろ)は、豊臣政権には当主としてあつかわれていたが、実は、島津家当主は兄である義久、という複雑な環境に置かれている。本国の義久は、東軍に接近している――この兄をかねてから義弘は敬慕していたものの、彼個人は、西軍に投じるといううごきをみせた……
 当然、援兵など望めるものではない――
 豊臣方への破格の好意と言えるだろう――惟新斎(いしんさい)こと義弘は、家康からも朝鮮での活躍を激賞されている……むしろ、東軍につくべき人士であった。
 なのに、断固として、西軍に属した。
 (兵主部ン(せつ)
 (羽柴兵庫頭豊臣義弘(おいどん)の首ひとつで全うし()っそ)
 とでも、かんがえていたのかもしれない……
 自然、かれの手勢は、大阪城に詰めていた一千に限定される――この小勢ゆえに、三成は、島津勢を軽くあつかった。
 三成は三成としか。
 甥の島津豊久もくわわり、関ヶ原に参戦……
 あの凄絶な「島津の退き口」伝説をのこす――
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