第416話 ご・主・人・様ァ

文字数 2,021文字

 試着室の扉が開き、そこから三人のメイドさんが出てきた!
 同じメイド服でも三者三様。各々の特徴がふんだんに現れている。

 イメージは大きな屋敷。
 たまに壺を壊すけど、馴れてくれば淡々と仕事をこなすショウコさん!
 童顔だけど年上で気立ての良い先輩メイドのカレンさん!
 最近、屋敷に来た新人メイドのリンカ!
 あ、これ完璧だ。完璧にオレの脳内でシミュレート出来たぞ! ここがメイド・イン・ヘブン! さぁ、ご主人様と言ってみなさい!

「ご主人様」

 リンカが、すすすと寄ってくるとオレに対してそう言って来る! まさか……心の声が漏れていたのか!? それともオレの気持ちを察したのか!? 流石はリン――

「ご主人様。ショウコお嬢様との二日を聞きました」

 その言葉にオレは石像のようにビシッと硬直する。

「随分と夜はお楽しみだったご様子で。あたくしの(これ)とショウコお嬢様の(あれ)をお比べになりました様ですね」
「…………」

 停止しているオレの耳元までリンカが近づいて囁く。

「ご主人様……是非とも事実確認をしとうございます。夜、お部屋に伺いますので、お時間をお空けくださいね」

 そして、にっこり、と良い笑顔。いやぁ本当に良い笑顔だなぁ。汗が止まんねぇや……

「イッヒッヒ。鮫島嬢から撮ろうかねぇ」
「はい、お婆様」

 キャラを作ったままリンカは所定の位置へ。すると、今度はショウコさんが寄ってきた。オレはビシビシと石化を解除。

「ケンゴさん」
「ショウコさん……話しちゃった?」
「ああ。だが、女郎花の事や屋敷に乗り込んだ時の事はそれなりに伏せた。アレはリンカさんが知るような事ではないからな」

 問題はない。とメイドショウコさんはぐっと拳を作る。

「……夜の事は?」
「隠す事ではあるまい?」

 どっちかと言うと、そっちの方をそれなりに伏せて欲しかったなぁ。
 ショウコさんの性格からして、聞かれれば答えると言う考えは十分にあり得ただろう。これは完全にオレのミスだ! しかし……隠し事というモノはどこかで発覚するのがこの世の摂理。誰も悪くない。
 しいて言えば……悪いのは黙ってれば乗り切れると考えたオレだよ! うぇーん……(泣き)

「いやー、ケンゴごめんね。面白そうだから私も聞いちゃった」

 メイドカレンさんが、ミルキーのキャラクターの様に舌を出した表情でテヘペロする。

「やることやってんねぇ。でもさ、そこまでやってショウコとヤらないってどうなのよ? まさか……EDとか? それとも海外に行ってホモに属性が変わった?」
「ケンゴさん、そうだったのか……」
「いやいやいやいやいや!! いやーよ! いやぁあ! そんな事はないですよ! アレも正常ですし! 女体大好きです! 胸! 腰! お尻! 最高だなぁ!」

 恥じている場合ではない。全力で否定せねば、ショウコさんはマジに受けとるだろう。

「法律と世間が許すなら! 胸と言う胸を揉みまくりながら歩きますよ! ぼかァ!」
「ふむ。それなら私のはフリーで良いぞ」
「……え?」

 オレがその発言を脳に理解させていると、ショウコさんは胸の下で腕を組んで持ち上げる。メイド服越しにも強調される巨乳が更に浮き足立った。

「欲求というものは程よく発散させると良いと聞く。私がそれを請け負おう」
「だってさ、ケンゴ。ショウコが献身的な娘でよかったねぇ」

 カレンさん……ニヤケを隠しきれて無いですよ……
 しかし……これは……良い……のか? いや、だってさ。このまま触らなかったらもれなくホモ認定だよ? そんなの嫌じゃん。それなら触ろうよ! だってこれは緊急事態だよ? オレの今後に関わるの程の緊急事態なのだ! 緊急事態なら仕方ないよね! よーし! ケンゴ、行っきまーす!

 オレが不可抗力でショウコさんのボールに触れる瞬間だった。
 前髪の一部を抉る様に、たこ焼き返しが眼前を通過。横の壁に、ビィィィン! と刺さった。

「申し訳ありません、ご・主・人・様ァ。手が滑りました」

 とても良い笑顔でリンカがオレを見る。しかし、その笑顔の奥は決して笑っていない。
 なにやってんだ? コラ。と言いたげな素敵すぎる笑顔。オレは汗だらっだらですよ。うわーん(泣き)。

「イッヒッヒ。良い投針だねぇ」
「あらら。綺麗に刺さってるねぇ。どこに持ってたんだか」

 お婆さんとカレンさんはリンカの投げスキルを感心している。数センチだけズレていればオレの眉間にクリーンヒットだったと言う事を認識していただけませんか?

「ケンゴさん。やはり私の(これ)には興味が無いのか?」
「いや……それはあるんだけど……ほら……ね。人目があると良くない行為だし……」
「そうか。なら、後で二人きりの時に思う存分に触ってくれて良いぞ」

 リンカの殺意が強くなった。MSに乗ってたらビーム兵器を容易く弾く程に濃い(プレッシャー)が溢れ出ている。
 リンカ様は殺意のニュータ○プであったか……

「ま、まぁ! 気持ちは受け取っとくよ! あはは」

 ホモ認定よりも命が危ない!
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登場人物紹介

鳳健吾(おおとり けんご)。

社会人。26歳。リンカの隣の部屋に住む青年。

海外転勤から3年ぶりに日本に帰って来た。

所属は3課。

鮫島凜香(さめじま りんか)。

高校1年生。15歳。ケンゴにだけ口が悪い。

鮫島瀬奈(さめじま せな)

XX歳(詮索はタブー)。リンカの母親。ママさんチームの一人。

あらあらうふふなシングルマザーで巨乳。母性Max。酒好き。

谷高光(やたか ひかり)

高校1年生。15歳。リンカの幼馴染で小中高と同じ学校。雑誌モデルをやっている。

鬼灯未来(ほおずき みらい)

18歳。リンカの高校の先輩。三年生。

表情や声色の変わらない機械系女子。学校一の秀才であり授業を免除されるほどの才女。詩織の妹。

鬼灯詩織(ほおずき しおり)

30代。ケンゴの直接の先輩。

美人で、優しくて、巨乳。そして、あらゆる事を卒なくこなすスーパー才女。課のエース。

所属は3課。

七海恵(ななみ けい)

30代。1課課長。

ケンゴ達とは違う課の課長。男勝りで一人称は“俺”。蹴りでコンクリートを砕く実力者。

黒船正十郎(くろふね せいじゅうろう)。

30代。ケンゴの勤務する会社の社長。

ふっはっは! が口癖で剛健な性格。声がデカイ。

轟甘奈(とどろき かんな)。

30代。社長秘書。

よく黒船に振り回されているが、締める時はきっちり締める。

ダイヤ・フォスター

25歳。ケンゴの海外赴任先の同僚。

手違いから住むところが無かったケンゴと3年間同棲した。四姉妹の長女。

流雲昌子(りゅううん しょうこ)。

21歳。雑誌の看板モデルをやっており、ストーカーの一件でケンゴと同棲する事になる。

淡々とした性格で、しっかりしているが無知な所がある。

サマー・ラインホルト

12歳。ハッカー組織『ハロウィンズ』の日本支部リーダー。わしっ娘

ビクトリア・ウッズ

30代。ハロウィンズのメンバーの一人で、サマーの護衛。

凄腕のカポエイリスタであり、レズ寄りのバイ。

白鷺綾(しらさぎ あや)

19歳。海外の貴族『白鷺家』の侯爵令嬢。ケンゴの許嫁。

音無歌恋(おとなし かれん)

34歳。ママさんチームの一人で、ダイキの母親。

シングルマザーでケンゴにとっては姉貴みたいな存在。

谷高影(やたか えい)

40代。ママさんチームの一人であり、ヒカリの母親。

自称『超芸術家』。アグレッシブ女子。人間音響兵器。

ケンゴがリンカに見せた神ノ木の里

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