飛鳥4〈7月25日(日)①〉
文字数 602文字
飛鳥四、七月二十五日(日)
一
もやもやする。保健室での事があってからずっと残っているこの感じは一体何だ。
俺は見下しているはずの女に助けられたことが赦せなくて、真琴を負かさなければこの不満は消えないと思っていた。だから別に、何もあの時俺が動く理由はなかった。例え鈴汝のしたことが普通に考えてよくないことだとしてもだ。
反射だった。どうして俺はあの時。
花火に鈴汝を誘ったのは真琴に謝らせるため。だからこの事自体もおかしい。しかし同時に俺は真琴と話がしたかった。分かっている。これも矛盾している。でもだから鈴汝には用が済んだらすんなり帰ってもらう必要があった。
そのためにもう一人、人間が必要だった。鈴汝を預かってくれて、欲を言えば抵抗なく誘いやすいよう、真琴ともつながりのある人間。
「生徒会の後輩が、あの子のクラスメイトです」
目を見開く。鈴汝の申し出は神がかっていた。ただ、予想外だったのはそいつが男だということだ。「同じクラスの男も来るから来ないか?」なんて誘いは、どう考えたって弱い。理想を言ったら、この間会った寺岡サンのような人間を望んでいたのだが。しかしそれ以上に思いも寄らなかったのは、それに対して真琴が「行きます」と言ったことだ。そのクラスメイトはそれほど真琴と仲がいいのだろうか?
何はともあれ、あの後声をかけてもひたすら逃げられてばかりだったが、これで何とか腰を落ち着けられそうだ。
一
もやもやする。保健室での事があってからずっと残っているこの感じは一体何だ。
俺は見下しているはずの女に助けられたことが赦せなくて、真琴を負かさなければこの不満は消えないと思っていた。だから別に、何もあの時俺が動く理由はなかった。例え鈴汝のしたことが普通に考えてよくないことだとしてもだ。
反射だった。どうして俺はあの時。
花火に鈴汝を誘ったのは真琴に謝らせるため。だからこの事自体もおかしい。しかし同時に俺は真琴と話がしたかった。分かっている。これも矛盾している。でもだから鈴汝には用が済んだらすんなり帰ってもらう必要があった。
そのためにもう一人、人間が必要だった。鈴汝を預かってくれて、欲を言えば抵抗なく誘いやすいよう、真琴ともつながりのある人間。
「生徒会の後輩が、あの子のクラスメイトです」
目を見開く。鈴汝の申し出は神がかっていた。ただ、予想外だったのはそいつが男だということだ。「同じクラスの男も来るから来ないか?」なんて誘いは、どう考えたって弱い。理想を言ったら、この間会った寺岡サンのような人間を望んでいたのだが。しかしそれ以上に思いも寄らなかったのは、それに対して真琴が「行きます」と言ったことだ。そのクラスメイトはそれほど真琴と仲がいいのだろうか?
何はともあれ、あの後声をかけてもひたすら逃げられてばかりだったが、これで何とか腰を落ち着けられそうだ。