第12話 準備は、わいがや 7 オマケの漫画原画 2

文字数 2,315文字

 
2023・10・30(月)
 オマケの漫画原画の中にあったんだけど、絵にも見覚えがないし、ぼくはすっかり忘れていた一枚があっだんた。



 目が不自由なぼくには、拡大読書器という強力な味方があるので、さっそくそれを使った。
 白黒反転にしているので、絵は見にくいけど、文字はハッキリと読めるんだ。





 作者不明 一段に2コマ。
 右 襟元にリボンの少女。中学生のようだ。
 ふきだし 「ちがうわ ちがうわ やさしい英子の たった一人の お兄さまよ」
 左 男の顔
 ふきだし 「うん きょうから そうするよ」
 
 裏面には、小さい文字で書き込まれていたので、いくら拡大しても読めないんだ。



 ここは、妻にお願いをして読んでもらうしかない。
 そう心に決めて、階下の掃除機の音が止まるのを待ってリビングに下りた。

<横みち友の会は毎年新たに募集しております。
 ただいま42年度の会員を募集しておりますので、ご入会ください。
 浦山君も会員にしておきましたので、会費200円お送りください。
 入会案内書は別にありませんが、同封の『会誌20号』をごらんいただければ、よくお解りになられると思います。>





『横みち友の会』は、漫画家、横山まさみちが主宰する横山プロダクションのファンクラブ的な会だったように覚えている。
 貸本漫画『ああ青春』で本人やアシスタントの作品を掲載していた。
 
 ぼくが入会したいと手紙を出して、その返信に漫画原稿を使ったみたいだ。
 『会誌20号』も、会費の200円を送ったかも覚えていない。
 42年度は昭和だから、ぼくは15歳、高校1年生の時のことだ。
 漫画のことを語る友だちがいなくて、仲間を探していたのだろう。
 
 この夏、家出をして東京へ行ったんだけど、その話をすると長くなるので、スルーするよ。    
 ここで書きたいのは、『横みち友の会』のことを、今まですっかり忘れていたということなんだ。
 というのは、二十歳を過ぎて東京へ行ったときに、元横山プロダクションの人たちと深い繋がりができたんだ。
 その時も、このことを忘れていて、今になってわかったことが残念なんだよ。
 このことは、『番外篇 あれやこれや』に書くつもりだから、また読んで欲しいな。





 ここで、ぼくがどうして準備もあまり出来ていないのに、11月1日に投稿を始めることに拘っているかを書いておきますね。
 まず「111」ってラッキーナンバーだと思ったんだ。
 それは<活動報告>にも書いたんだけど、
「111」は、ぼくたち3人を表わしているからです。
4人だったら、11月11日まで待ったかな(笑)。

 数字の「1」のイメージが、「屹立(きつりつ)」という熟語を連想させるんだ。
 意味は、<山などが高くそびえ立つこと。>
 <人が動かずに立っていること。>なんだ。
 森鴎外の小説で「白髪の老人が屹立しているのであった」とある。
 小さい頃には、そういうお年寄りが身近にたくさんいたんだけど、ぼくも古稀を過ぎて白髪も残り少なくなっているのに、「屹立」とほど遠くて、情けなくなる。
 ぼくが尊敬している詩人の『金時鐘』さんは、いま93歳だけど、「屹立」とされていて、ものすごくかっこいいんだ。
 鵜飼さんと出逢ったのも、金時鐘さんがきっかけだし、鵜飼さんのお陰で、山田さんと出逢ったというわけなんだ。

 2023年に出逢った3人が『貸本漫画』について、あれこれ語るというマニアックな記録 だから、11月1日に登校すると決めた。
 それに、早く始めないとせっかく繋がった糸がいつ途切れるかわからないもんね。
 まあ、週1の投稿だから力まずに済むし、気持ちも楽なんだ。

『人間とは、たがいにつながりのない衝動の束にすぎない』(マルグリット・デュラス)
 一瞬だけ触れ合う衝動が、どんな火花を散らすのか、ぼくも楽しみなんだ。

  こんばんは、浦山です。
  山田さん、鵜飼さん。
  第01話の原稿を添付します。
  チェックをお願いします。
(本文)
「三人寄れば文殊の知恵」とことわざにもありますが、ぼくたち凡人の3人で集まって、『貸本漫画』について、楽しく語り合います。
 
『貸本漫画』に興味を持っている人は、どれぐらいいるのかな?
 いまは、『コミックレンタル』というみたいで、ネットで検索すると、『TSUTAYA DISCAS 宅配コミックレンタル』とか『ゲオの宅配コミックレンタル』とか、『漫画のレンタルならコミックシーモア・電子コミック 無料立読み大充実!』なんかがヒットした。
 漫画本を家まで届けてくれたり、紙の本ではなくて、パソコンやタブレット、スマートフォンで読むことが出来るみたいだ。

 便利な世の中になったものだと、つくづく感心する。
 ここでいう『貸本漫画』は、昭和30年代の町角にあった『貸本屋』用に出版された漫画単行本のことなんだ。



 この『貸本漫画』について、知っていることを書き残したいと思ったぼくが、山田さんと鵜飼さんを「一緒にやりませんか」と誘ったんだ。すると、2人とも「やろう、やろう」と乗り気になって、この投稿が始まったってわけなんだ。

 ぼくたち3人の関係なんだけど、書き始めると長くなるので、『貸本漫画』を愛しているコレクション魂に取りつかれた仲間だと思ってもらえばいいかな。

 ここで、一応3人の自己紹介をしておくよ。

 ここで自己紹介が必要ですので、書いて返信してください。
 自己紹介は、実名でも仮名でもかまいません。住んでいる場所や経歴も実際と違って創作でもいいですよ。
 この際、一度住んでみたかった土地にしても面白いですね。

 よろしくお願いします。
 浦山みのる


 準備は、わいがや 8 に続く。



ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み