第05話 始まりは、一斉メール 5

文字数 1,893文字

 


◆2023・10・24(火)

 鵜飼さん、浦山です。
 今日は、相談があってのメールです。

 この前、ぼくが書いた「貸本漫画」のメールに、山田さんから返信があって、いろいろメール交換をしていたんですよ。
 それで昨日、ぼくが【NOVEL DAYS】にコラムを投稿することを思いついて提案したんです。
 すると、山田さんも乗り気な様子なんですよ。
 鵜飼さんも一緒にやりませんか?





 具体的なことを書きますね。
1)発表媒体  NOVELDAYS

2)タイトル
  A)「貸本漫画」あれこれ。
  B)「貸本漫画」あるある。
  ℂ)その他 提案があれば教えてください。

3)使用する名前 本名か仮名か?
  ぼくは、「無花果」の主人公、「浦山みのる」にします。

4)週一程度から始めるのがいいと思います。
 ご検討ください、

 浦山さん
 山田さんとメール交換されているとのこと、素晴らしいです。
 とても嬉しいです。
 私に『貸本体験』があれば、是非、参加させていただきたいのですが、私にはその体験がほとんどなくて、私の貸本の『知識』は、全て山田さんと雑誌の『貸本マンガ史研究』に拠っています。










 自分の『実体験』がないと書いていくのは難しいと思うので、今回はお二人の投稿の読み手にまわらせてください。
『古本』だったら書けると思うのですが‥。
 古本と言えば、昨日、大阪天満宮の境内で行われている『天神さんの古本まつり』に行ってきました。
 私の親しい古本屋さん、生駒市にある『キトラ文庫』の安田有さんが出店されていたからです。





 安田さんは詩人でとてもユニークな経歴をお持ちです。

 浦山です。
 そうですか、鵜飼さんのお考えはわかりました。
 では、貸本研究家として参加、またはゲストとしての参加というのはどうですか?

 研究家は無理ですけど、ゲストとして参加させていただきますね。 

 よかった。
 では、ゲストでお願いします。
 プロフィールと山田さんと出逢いを書いてくださいね。
 ぼくは、鵜飼さんとの出逢いを書きます。
 よろしくお願いします。
 浦山

 了解です。 
 鵜飼

 強引に押し切ったのは、どうしても鵜飼さんが必要だと思ったからなんだ。
 ぼくと山田さんとは、メールでたちまち意気投合はしたものの、顔も合わせていない。
 通信障害でも発生すれば、たちまち途切れてしまうかもしれない関係だ。
 それに、ぼくはコレクターとして、対抗心を抱いている。
いまは、お互いの気持ちと気持ちとが合っていると思うけど、気持ちばかりはいつどう変わるかは、今まで生きて来た経験で、嫌というほど知っている。
 これは、相手というよりは、ぼく自身の気持ちが信用できないんだよな。

 山田さん、鵜飼さん。浦山です。
 これからは、3人の意思疎通を図るのと連絡ミスがないようにグループメールにしたいと思います。
 もちろんこれは、NOVELDAYS に限ってのことです。
 山田さん。
 鵜飼さんは、『貸本体験』がないから、書いていくのは難しいと思うので、今回は投稿の読み手にまわりたいとのことでしたので、ゲストとしてお願いをしました。
 でも、鵜飼さん。
 アドバイザーとしての参加をお願いします。
 ぼくと山田さんの暴走に、ブレーキをかけてくれる人が必要なんですよ。

 具体的には、紙上座談会とコラムの投稿をやってみようと考えています。
 そこで『貸本漫画』の研究本や論文には書かれることがないことを書き残したいのです。

 たとえば、昨日の深夜に交わしたメール。

 了解です。
 鵜飼

 山田です。
 まずは、たわいのない話しからでもいいかなと思います。
 この調子(?)で思いついた事を書いていきましょう。

 鵜飼さんからの一斉メールに、返信したことによって、漫画コレクターの山田さんと繋がり、ぼくの思い付きで『貸本漫画』についてのサークルみたいなものが出来た。
 まあ、強引に誘った感はあるけど、鵜飼さんがいなければ繋がらなかったわけだから、それなりの責任はあるはずだ。

『人間とは、たがいにつながりのない衝動の束にすぎない』
 1914年生まれのフランスの小説家、脚本家、映画監督のマルグリット・デュラスは、ぼくの好きな作家のひとりだ。

 脚本を書いたアンリ・コルピ監督映画「かくも長き不在」(1961年)は、カンヌ映画祭グランプリを受賞している。
 華僑の青年との性愛体験を描いた自伝的小説『愛人』(1984年)は、ゴンクール賞を受賞し、フランス・イギリス合作映画『愛人/ラマン』(1992年)の原作になっている。





 一瞬だけ触れ合う衝動が、どんな火花を散らすのかとても楽しみだ。



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