買ってしまったんだ。1  貸本漫画・関 一彦「巻かえし作戦」を 

文字数 862文字

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 関 一彦「巻かえし作戦」を購入したときのことは、
「第113話  関 一彦のお宝漫画本を、ゲットしたゾ!!!!」
に書いているんだけれど、ぼくの目が不自由になってから、初めて買った本なんだ。






 
 読むことが出来ないのに貸本漫画を買うなんて、自分でもどうかしてるって思うんだけどさ。

 この本は、「メリカリ」で見つけたので、二人いる息子の弟・マサトの妻、クーコちゃんに頼んで注文をしてもらったんだ。

 妻が大きな足音を立てて上がってくると、バンバンとドアを叩いて部屋に入って来た。
「本を買ったの!」
 これだけで、妻が怒っているのは伝わるよね。

 なにしろ妻にとっては、ぼくの蔵書やダンボール函にある資料は全て不要物、ゴミとしての認識なんだ。
 そこに本が届いて、開けると薄汚れた貸本漫画が出て来たもんだから、ガミガミ文句を言うのは当然だよな。

 あっ、薄汚れた本というのは、所持していた人に失礼だった。
 なにしろ半世紀以上も前の貸本漫画だから経年の古さを考えると、きれいな本だといえる。

 でも、こんな時は、へたに反論すると駄目だということは熟知している。

 ミニ台風が収まりかけた時に、
「じゃあ、本を50冊、手放すよ」
 1対50のトレードを申し入れると、妻もいちおうは納得をする。
 あとで壁際に積んである本のタイトルを妻に読み上げてもらって、売る本を決めるのだ。





 じつは、クーコちゃんには、ぼくの本を「メリカリ」で売ってもらっているんだ。
 
 この前も、「異国遍路 旅芸人始末書」を買ってくれた人がいた。



 
 いい本なんだよ。
 確実に求めている人に本を届けることができるので、嬉しいんだよね。
 それに、古本屋さんよりも高く売れるしさ。
 売れた代金をクーコちゃんと半分っこ、フィフティー・フィフティーにしているんだ。

 厳密にいえば、詩人・金時鐘さんの本、藤原書店「金時鐘コレクション」だけは購入を続けているんだ。




 この本は読むためではなくて、身近に並べておきたいからなんだ。
 眺めているだけで、精神を安定させてくれるのも本の役割としてあるよね。

 
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