予告編
文字数 1,663文字
「うなぎ食べようか? 俺がおごる」
格好いいバイクに乗って、美女二人と飯を食う俺。おそらく羨望の的。
「うん」
夢月が目を細めて笑う……。
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手持ち無沙汰だ。スマホをいじるのも失礼だし、テレビがないのはきつい。本も教科書と参考書ぐらい。なので柚香のスカイブルーのエプロン姿を見ている。背後から抱きつきたくなる。
「魔法が使えなくなって不便?」
さすがに襲えないから話題を振る……。
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「あれ、赤くなっちゃったよ」
生身に戻った夢月の手には紅色のマントがあった。
「力あるものが使用すると黒色が変わる。以後はその人専用になる。返してもらわずに結構」
千由奈は納得げだ。焼石のマントも赤色だったな。
「桧は最初は戦闘員だから不要だ。一枚ぐらい押収できるだろう」
「もしかして戦闘員服もあるの? 着たい! 寄こせ!」
千由奈は夢月に寛大で、言いなりに兄の形見を渡す……。
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蘭さんはきょろきょろしながら、スカシバイクの収納にマントを乱暴に押しこむ。俺に鍵を返しながら。
「格好良すぎる単車だな。妊婦じゃなかったら立ち合いなどせずに拝借して、紀伊半島一周したところだ。だが目立つから移動した方がいいのではないか? 和歌山から遠征してくる悪ガキにいたずらされるぞ」
「模擬戦で使いますので乗っていきます……」
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藍菜も博士の研究室の学生を演じていた。二十一歳の娘だものな。某組織の前線司令官よりは、医大生のが通じやすい。
「不審そうだったな。竹生の派手な髪の色。陸奥と相生はいきなり泣き出す」
櫛引博士が鋭い目で全員を見る……。
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「起きてください」とシルクイエローにやさしく頬を叩かれる。モスプレイの中だった。
「俺、気を失った?」
「はい!」
はいじゃないだろ。キラメキ起こせよ……。
***
「ハウンドよ、モスのピンクよ。レッドを逃がせ」
仮面ガイアの声がする。
「僕たちが時間を稼ぐ」
仮面アグルの声もした。
月の明かりに照らされて、仮面をつけた二人が巨大な敵へと駆けていく。
「智太さん、早く」
真横にコノハが現れる。俺に手を差し伸べる……。
***
「現れるかな」
レオフレイムがかぐや姫に尋ねる。
「あの女、とてつもなく強いよ。因幡さんのかたきなど討てないくらいに」
彼女は紅月を頼っている。それくらい紅月は強くなった。
「三人一緒ならばできるよ」
かぐや姫は空を見たまま言う――。
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『望み望まれ、モスガールジャー』
本宮から奇跡的な生還を果たした相生智太は、さらに多くの仲間を得た。第四部となれば極めて佳境な、『かわいこ戦隊モスガールジャー』の続編が始まる。
ハウンドピンクのレジスタンス加入は、布理冥尊との戦いに決定的な転機をもたらした。攻勢を強めるレジスタンス。しかし、なおも親衛隊隊長、執務室長、最後の五人衆レイヴンレッドがいる。魔女も地に降りたとうとしている。
そんな戦いと表裏一体に、相生智太と美女たちの関係も変わっていく。元布理冥尊三人との同居は、妹である桧も変えていく。眠り続ける清見涼は、陸奥柚香との間に影を落とす。レオフレイムである穂村利里と仲良くしちゃったりする。さらに竹生夢月は、とてつもなきことを泣きながら彼に打ち明ける。
それぞれが望むこと。望まれること。ほかの人には望まれぬことであっても、若い戦士たちは望みを果たすために公私ともに疾走し続ける。
そして宴は始まる。
相生智太の勝利の報酬は、女にもてまくること。もう充分だ、整理したい、でもいつまでもこのままで。都合良きことだけ考える今日この頃。だとしても、美少女戦士に転生して美女たちと戦いつづける。揺れながらもおのれの正義だけは貫く。
またも彼はこう叫ぶ。
「仲間を愛し、妹や女の子たちも愛し、スカシバレッドこそを愛し、愛されながら日本の平和を守り抜いてやる!」
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称・地名等は架空であり、実在のものとは関係ありません。