予告編
文字数 1,466文字
おお……。胸は並み以上で手足がすらりとした彼女こそスタイルがいい。すなわちエロい。十一月も半ばというのに、夏が待ち遠しくなった……。
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「ここです」
湖佳がシャッターの閉ざされた民家サイズの工場前を行き過ぎながら言う。両隣は本当の民家。しばらく歩いた後に。
「偵察してきます」
路地で黒ビキニ経由で姿を消すのが見えた。俺と芹澤はコンビニ前で待機する……。
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さらに男が二人現れた。五十ぐらいの地元民丸出し親父と、俺と同年代の格好いい男。そいつは見覚えがある。その時は金色の鎧をまとっていた。
「大宮で会ったよな」
野原宏が俺に言う。
「目を見れば分がる。おめはズガジバレッドだ」
その手に金色の端末が現れる……。
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『五分前。巫女をそちらに転送する。コードを教えて』
サント号の上に乗った五人がフリーズした。トリオスの三人が二人を見る。紅月は俺を見る。
「関東の人はえげつないな」
レアシルバーがぼそりと言う……。
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彼女のが苦しんでいる。なによりレイヴンレッドが来る。はやく終わらせないと。
俺が終わらせる。
「だめ!」
駆けだしかけた俺を、シルクイエローが背後から抱く……。
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「私さあ、前はモスガールジャーにいた」
彼女は俺たちへと平然とした態度で語りだす。
「その司令官である女に失望した。それで布理冥尊に移った。根は同じでもさあ、あっちには大司祭長がいる。すべてを赦してすべてを救ってくれる。私も、あなたたちも」
俺は知らぬ間に酒をだしていた――。
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『惜しみ惜しまれ、モスガールジャー』
ハデスブラックと相討ちした相生智太は、二度目の死を経験した。レジスタンス最強であった竹生夢月も倒された。敵味方とも満身創痍のなかで、「かわいこ戦隊モスガールジャー」のファイナルストーリーが始まる。
相生智太は陸奥柚香に別れを切りだし、その足で竹生夢月を選んだ。正義の男に非ざる行為に憤慨する仲間たち。妥協する仲間も同数いた。そんなプライベートにおかまいなく戦いは続く。彼は芹澤陽南と洞谷湖佳というよく分からない三人で、東北遠征へと向かう。北温泉ランドの名湯に築かれた布理冥尊のあらたな拠点。そこに星空義侠団が関わっているらしい。それは柚香の先輩がリーダーの正義の一団のはず。その真偽を確かめるために温泉巡りを強行する。
残された敵は、歴戦のレイヴンレッド。そして白い魔女。なのに彼の前には新たな敵がなおも現れる。それは、妹である相生桧の前にも……。
惜しもうが失われるもの、去っていく人。相生智太も経験するだろう。本人さえも、惜しまれようが二度と会えなくなるかもしれない。だとしても、弱くなった彼はなおも先頭で誰より戦い続ける。レベルなんて関係ない! 愛する人のためにその言葉を実践する。
相生智太の勝利の報酬は、女にもてまくること。敗北のペナルティは女に嫌悪されること。
どうでもいい。俺には目薬と夢月だけで充分。でも……。
なおも自分の都合を垣間見せる。優柔不断に区切りをつけるため、美少女戦士に転生して美女たちと戦いつづける。おのれの正義だけは貫きとおす。
そう。最後に彼はこう叫ぶだろう。
「仲間を愛し、妹や女の子たちも愛し、竹生夢月を愛し、スカシバレッドこそ一番に愛して、愛されながら日本の平和を守り抜いてやる!」
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称・地名等は架空であり、実在のものとは関係ありません。