第142話 ゴルフ 4

文字数 1,348文字

 ゴルフのコースの予約をすると天気がおかしくなる。前回は台風の影響が。もう雨女と呼ばれている。

 前回はいつもと違うコース。高速代もそれほどかからないところを選んだ。平日だから安い。
 レッスンで1年半同じクラスなのに、「初めて会いましたね」と私に言った奥様は、「平日でも1万円以上しますね」とコーチと話していた。
「私が行くところは5900円ですよ」
と言えば、少しの間。
「そういうところにも行きますけどね」
 言わなきゃよかった。話していたのは、便器の蓋も自動で開き自動で流れるクラブだ。夫が付き合いで行き感激していた。
 
 老夫婦が行ったのは……ゴルフバッグの上げ下ろしも、クラブの掃除もすべてセルフ。食堂の水もセルフサービスだった。そのかわり安い。もうシニア割引もあるし。でも充分。食事込みで風呂も入れてほぼ1日遊べるのだから。
 いつも行っていたところは男性の年配者が多い。年金超えと言われるホールがある。そこを越えられるうちは年金をもらってはいけない、とか。レディースティーはずっと前なので関係ないが。

 
 今回のコースは女性が多い。ショートホールが多い。ロングホールは白ティーと190ヤードの差があるところも。それが男と女の体力の差、なのか? いつまでたっても飛ばないからカートにも乗らずひたすら小走り、打ってもそこ! 打ってもそこ! グリーンにたどり着くとくたくたで息も切れる。すごい! こんなに登ってくれば疲れるはず。

 そのコース2回目。いつものように夫は早起き。前日に買ってきてくれたサンドウィッチにポテトスープ、コーヒーまで入れて起こす。
 天気は久々に……雨ではない。かんかん照りではないが暑かった。
 1週間以上前にホットカーペットの角に足の小指をぶつけ痛みが取れない。ウォーキングも1週間以上していないので体力に自信がない。でも、過去に腰痛でも全然痛くなかったことがある。ダメならカートに乗っていればいいか……
 しかし不思議だ、この足で18ホールをやり通した。頑張った。無理をした。またサンダルしか履けない日が続く。まさかヒビでも入っていたりして……

 レッスン通りにできたならスコアはかなりいいはず……しかしゴルフほど、練習通りにいかない、うまくならないスポーツってあるだろうか? 逆にひと月練習しなくてもうまくなっていて、よそでやってた? とコーチに言われたくらい変なスポーツ。

 レッスン通りにやれば全然飛ばず、大振りだと夫にけなされ、おとなしく助言を聞いたら……
 脱力。振り幅をとことん小さくしたら、良くなった。フルスイングより飛んだ。ここ3回ダメだったドライバー、打つのが怖くなったドライバーにようやく手応えが。
 なあんだ、軽く打てばいいんだ……
 平日なのに混んでいて、すぐ前は若いミニスカートの女性ふたり組だった。下手なのにのんびり。なぜ走らない? さっさと打たない? 詰まりに詰まり後続のカートがずらり。
 後続組が見にきた。まだですか? と。
 そして、私が打つ時にはギャラリーが。人に見られて打つのはいやなのだが……最近わかった。写真を撮られたり、見られたりしている方が調子がいいのだ。本日1番の出来。飛んだ。いい方向に。転がれ、転がれ……まあまあ満足して帰ってきたのでした。

 



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