第186話 氷河期が来る

文字数 3,473文字

 ✳︎ ミランコビッチサイクル

 現在は、260万年前に始まった氷河時代です。 
 氷河時代の間氷期です。(知らなかったけど)
 
 
 氷河時代は氷期(10万年)と間氷期(1万年)を繰り返しています。
 これをミランコビッチサイクルと呼んでおり、本来ならば、現在は間氷期を終了し、寒冷化の氷期に入っている……というのが有力な説です。

 したがって、何らかの引き金(例えば深層海流の停止など)により、急激に寒冷化に突入する可能性はあると思います。

 このことを国立環境研究所の専門家に質問したところ、現在は二酸化炭素濃度が高すぎて、2万年~3万年は寒冷化には移行しないでしょうという回答でした。

 将来どちらに転ぶかは神のみぞ知る世界ですが、酷寒の世界も恐ろしいものがあります。
https://novel.daysneo.com/sp/works/episode/088d0b8c80d30a4a8a5d55ef2743afd6.html
(私の好きな作者さん。近未来の氷河期の作品があります)

 氷期・間氷期の開始のタイミングは、ミランコビッチサイクルとして知られる、天文学的現象がペースメーカーとなっている。

 地球が太陽の周りを回る公転軌道の形は、真円に近づいたり、ほんの少し楕円形に伸びたりする。
 自転軸の傾きとその向きが、木星などの重力の影響により、それぞれ数万年という周期で変動する。

 これらによって、地球が受け取る日射量の大きさや分布が変化するが、特に、北半球高緯度の夏の日射量がポイントである。

 これが小さくなると、北半球に降り積もった雪が解け残って蓄積していき、氷河が拡大することで、間氷期から氷期への移行の引き金となりうる。
 逆に、この日射量が大きくなれば、氷河を縮小させて、氷期から間氷期への移行が起きうる。


 現在は、北半球高緯度の夏の日射量が極小になったにもかかわらず、公転軌道がそれほど楕円でなかったこと、自転軸がそれほど「立って」いなかったこと、そして、CO2濃度が少し高かったこと、といった幸運(?)が重なって、氷期が始まらなかったと考えられる。


 実際、現在と条件がよく似ている40万年ほど前には、地球の自転軸が現在と比べてほんの少し(1°弱)「立って」いただけで、氷期が始まった(自転軸が立っているほど、高緯度の夏の日射は弱まる)
 また、同じく条件が似ている80万年ほど前には、現在より公転軌道がほんの少し楕円で、かつCO2濃度が40ppmほど低かっただけで、氷期に突入していたのだ。

 タイミングからいうと、現在、氷期が始まっていてもおかしくなかったのだ。

 しかし、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度がわずか40ppmほど高かったおかげで、氷期の開始はぎりぎり回避された……

 氷期への突入を止めたのは人類か?

✳︎二酸化炭素

 もし日射量の条件が同じならば、大気中のCO2濃度が高いほど、その温室効果により、氷河の拡大が起きにくく、したがって、氷期への突入が起きにくい。

 産業革命前のCO2濃度は280ppm程度であったと考えられるが、これがもしも、少し低い240ppmであったら、氷期が始まっていたかもしれない。

 では、産業革命前にCO2濃度が少し高かったのは、人類の仕業かというと、どうもこれはよくわからない。
 産業革命前の人間活動によるCO2濃度への影響にはさまざまな見積もりがあるらしい。

 ある見積りによれば、人類が農耕を開始して、森林を切り開くことにより大気中にCO2を排出し、産業革命が起きるよりも前にCO2濃度を40ppm程度増加させていてもおかしくないそうだ。
 つまり、自然の状態ならば産業革命前のCO2濃度は240ppmだったものが、人間活動により280ppmに増加していたかもしれないというのである。

 もしもこれが正しかったとすると、我々の祖先が知らずに行った自然への介入が、その後の我々の生きる気候に天と地ほどの差をもたらしているということになる。
 我々は彼らに感謝すべきかもしれない。


 ところで、近現代の人類も、もちろん、大規模な自然への介入(ここでは主として化石燃料の採掘と燃焼)を行い、大気中のCO2濃度を増加させ続けている。
 かつて280ppmだったCO2濃度は今や400ppmを超え、当分の間は氷期の始まりようがない状態といってよい。
 では、ずっと先はどうだろうか。

 実は、次に氷期が始まりうるタイミングが訪れるのは、およそ5万年後である。
 今の人類が大気に排出したCO2は、それまでに海や陸上生態系に吸収されていくが、ある程度の影響は残る。

 人類がトータルで1兆トンの炭素(3.7兆トンのCO2)を大気に注入したとすると、大気に残ったCO2の温室効果により、5万年後の氷期も訪れない可能性が高くなる。
 人類はすでに0.5兆トン以上の炭素を大気に注入しており、パリ協定の目標が達成できたとして、トータルで排出される炭素は1兆トン弱になるだろう。

 今の人類は地球温暖化問題を起こしてしまったが、この問題をなんとか乗り越えて文明を存続させ続けたら、5万年後の氷期を止めたことによって、そのころの子孫たちには感謝されるかもしれない。
 もっとも、5万年後の人類は地球の気候などやすやすと制御できているかもしれないし、あるいは宇宙に出ていってしまっているかもしれないが。
https://news.yahoo.co.jp/byline/emoriseita/20180603-00086007

✳︎

 ところで本当に地球温暖化は不幸なことなのだろうか?
 
 恐竜が最も繁栄したジュラ紀は、今からおよそ2億年前から1億4000万年前。
 今より気温が高く、北極圏の近くでも平均気温が15度くらいだったといわれている。

 気候が温暖だった原因は、活発な火山活動にあった。火山活動によって、大気中の二酸化炭素濃度は、現在の20倍にまで達していた。
 その結果、大量の二酸化炭素が熱を閉じ込め、地球の平均気温は現在より10度以上も高かったと考えられる。
 ジュラ紀の温暖な気候が植物を育んだことで、植物を食べる恐竜が増え、恐竜たちの繁栄につながった。


 では、本当に地球温暖化の原因がCO2なのか考てみる。

 中世は温暖な時代で極寒のグリーンランドででも農耕ができたそうだし、17世紀にはテムズ河が凍ってスケートが出来るくらいに寒冷化したことが絵画に記録されている。

 日本では縄文時代は今より2°C高く(50°Cは最高気温)海面は4m高かったそうだ。
 今は寒い東北地方でも食料が豊富に採れたので、縄文文化は1200年も続いたのだと思われる。

 直近では世界大戦のあと1940年から1980年まで世界のCO2排出量は飛躍的に増えたが平均気温は下がっている。

 恐竜時代のCO2濃度は今より40倍も多かったそうだが、実際平均気温は3℃しか高くなかった。
 計算式では400℃になるはずなので、今の計算方法が間違っている証拠である。
 このようにCO2に関係ないところで地球の温暖化、寒冷化は起こっている……


 よくいわれているCO2と温暖化の関係は、温暖化によって海水温が上がる。それによって海水からのCO2放出が多くなるという結果をみているのだと思われる。
 サイダーを温めるとCO2気泡がどっと出てくるような。


 それではなぜ温暖化しているのかといえばよくわからない。何らかの地球、天体現象によって起こっている可能性が大だ。

 地球の公転軌道は必ずしもいつも同じ形の真円を描いていないし、地軸も微妙にずれが生じる。
 また太陽の活動によっても宇宙線が影響を受け、地殻変動や気候変動を起こすということも明らかにありつつある。

 この100年間、太陽の黒点数が減っていて太陽活動の低下が心配されており、2030年には寒冷化が始まるという予想をしている学者も多くいる。

 太陽黒点と地球の気温との関係は置くとしても、2010年代以降、世界各地で異常気象による災害が相次いでいるのは確かである。
 日本では台風や大雨による被害が多発しているが、米国や欧州でも同様である。
 地球温暖化が原因である、とする声も大きくなっているが、直近の自然災害が多発している直接の原因は偏西風の蛇行である。

https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005402671_00000
novel days のある作品の『温暖化豆知識』から。

 
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み