第87話 ウェルテル効果
文字数 1,699文字
ロッテの社名は、ドイツの文豪ゲーテの作品『若きウェルテルの悩み』に由来する。
創業者の重光武雄氏は若い頃に『若きウェルテルの悩み』を繰返し愛読し、シャルロッテが後にヨーロッパで「永遠の恋人」と呼ばれたように、ロッテが誰からも愛されるように、との願いを込めて付けたという。
ロッテのキャッチコピーである「お口の恋人・ロッテ」は、ザ・ドリフターズの仲本工事さんのおかあさまによる応募が採用されたもの。
(元ネタ・由来を解説するサイト『タネタン』より)
作者ゲーテの実体験をもとに執筆された『若きウェルテルの悩み』
ゲーテはヴェッツラー郊外の舞踏会に参加し、そこで作中のシャルロッテのモデルとなるシャルロッテ・ブッフと出会い恋に落ちる。そして間もなく彼女は友人ケストナーと婚約中であることがわかるが、ゲーテは諦めきれずにシャルロッテのもとを頻繁に訪れるようになった。しかし思いを果たせず誰にも告げずに故郷フランクフルトに舞い戻ってしまう。
しかしゲーテは故郷に戻った後もシャルロッテのことが忘れられず、彼女の結婚の日が近づくと懊悩し、一時は自殺すら考えるようになる。そんな中、友人のひとりが人妻への失恋がもとでピストル自殺したという報が届く。このときゲーテはこの友人の死と自身の失恋体験を組み合わせた小説の構想を思いつき、1か月あまりでこの小説を書き上げた。この小説を書く作業によりゲーテは彼自身の失恋自殺の危機から脱出できた。
なおシャルロッテ・ブッフは1816年、60歳になったゲーテを訪問し再会を果たしている。
(若きウェルテルの悩みWikipediaより)
若い頃『異邦人』の次に読んだカミュの『シーシュポスの神話』は難しくて細かい字で、何が書いてあるのか、字を追うだけだった。1箇所だけ、浮いて見えた文章がある。
『情熱恋愛の専門家たちが口をそろえてぼくらに教えてくれる、障害のある愛以外に永遠の愛はないと。闘争のない情熱はほとんどない、と。そうした愛は死という究極の矛盾のなかではじめて終わるものだ。ウェルテルであるかしからずば無か、そのどちらかだ』
1774年の出版当時、ヨーロッパでベストセラーになり、主人公ウェルテルをまねて自殺者が急増するほどの社会現象を巻き起こした。このため同書は‘‘精神的インフルエンザの病原体″とまで呼ばれ、いくつかの国家で発禁処分となった。
『ウェルテル効果』とは、著名人の自殺が報道されることにより、連鎖的に自殺者が増える現象。日本でも同効果とみられる若者の自殺が度々起こり、社会問題となっている。
著名人の悲しい自殺は後追い自殺を生む。太宰治、三島由紀夫の自殺は多くの後続者を出した。芸能人も……
だから、自殺報道には命の電話がセットで付いてくる。それほど影響があるのだろう。
対局にパパゲーノ効果がある。マスメディアが、自殺を思い留まり成功した例を挙げることで、大衆の自殺を抑制する効果のことである。
名前の由来はモーツァルト作曲のオペラ『魔笛』に因む。パパゲーノは恋に焦がれて自殺しようとしたが、3人の童子が現れて「やめろよパパゲーノ、人生は1度だけ2度とはないよ」との歌によって自殺を思いとどまる。特に、厳しい環境で自殺念慮を持った個人が、その危機を乗り越える報道内容は、有意な自殺予防効果があるとされている。
(パパゲーノ効果Wikipediaより)
なお、自殺の場合、成功した、とは言わずに既遂という。未遂、既遂、そして失敗。
自殺を図った人のうち3人に2人は失敗している。
失敗した例……意識を取り戻すことはない。いわゆる植物状態に。
植物状態とは、呼吸や体温調節、血液循環などの生命維持に必要な脳幹は機能しているが、頭部の外傷や脳への血流の停止などが原因で、大脳の働きが失われて意識が戻らない状態をいう。自力で動けず、食べられず、失禁状態で、意味のある言葉をしゃべれず、意思の疎通ができず、目でものを認識できない、という状態が永続する。
一歩踏み出した結果こうなることは、おそらく知らない……
(彼らは皆自殺失敗者です。自殺未遂の「それから」より)
創業者の重光武雄氏は若い頃に『若きウェルテルの悩み』を繰返し愛読し、シャルロッテが後にヨーロッパで「永遠の恋人」と呼ばれたように、ロッテが誰からも愛されるように、との願いを込めて付けたという。
ロッテのキャッチコピーである「お口の恋人・ロッテ」は、ザ・ドリフターズの仲本工事さんのおかあさまによる応募が採用されたもの。
(元ネタ・由来を解説するサイト『タネタン』より)
作者ゲーテの実体験をもとに執筆された『若きウェルテルの悩み』
ゲーテはヴェッツラー郊外の舞踏会に参加し、そこで作中のシャルロッテのモデルとなるシャルロッテ・ブッフと出会い恋に落ちる。そして間もなく彼女は友人ケストナーと婚約中であることがわかるが、ゲーテは諦めきれずにシャルロッテのもとを頻繁に訪れるようになった。しかし思いを果たせず誰にも告げずに故郷フランクフルトに舞い戻ってしまう。
しかしゲーテは故郷に戻った後もシャルロッテのことが忘れられず、彼女の結婚の日が近づくと懊悩し、一時は自殺すら考えるようになる。そんな中、友人のひとりが人妻への失恋がもとでピストル自殺したという報が届く。このときゲーテはこの友人の死と自身の失恋体験を組み合わせた小説の構想を思いつき、1か月あまりでこの小説を書き上げた。この小説を書く作業によりゲーテは彼自身の失恋自殺の危機から脱出できた。
なおシャルロッテ・ブッフは1816年、60歳になったゲーテを訪問し再会を果たしている。
(若きウェルテルの悩みWikipediaより)
若い頃『異邦人』の次に読んだカミュの『シーシュポスの神話』は難しくて細かい字で、何が書いてあるのか、字を追うだけだった。1箇所だけ、浮いて見えた文章がある。
『情熱恋愛の専門家たちが口をそろえてぼくらに教えてくれる、障害のある愛以外に永遠の愛はないと。闘争のない情熱はほとんどない、と。そうした愛は死という究極の矛盾のなかではじめて終わるものだ。ウェルテルであるかしからずば無か、そのどちらかだ』
1774年の出版当時、ヨーロッパでベストセラーになり、主人公ウェルテルをまねて自殺者が急増するほどの社会現象を巻き起こした。このため同書は‘‘精神的インフルエンザの病原体″とまで呼ばれ、いくつかの国家で発禁処分となった。
『ウェルテル効果』とは、著名人の自殺が報道されることにより、連鎖的に自殺者が増える現象。日本でも同効果とみられる若者の自殺が度々起こり、社会問題となっている。
著名人の悲しい自殺は後追い自殺を生む。太宰治、三島由紀夫の自殺は多くの後続者を出した。芸能人も……
だから、自殺報道には命の電話がセットで付いてくる。それほど影響があるのだろう。
対局にパパゲーノ効果がある。マスメディアが、自殺を思い留まり成功した例を挙げることで、大衆の自殺を抑制する効果のことである。
名前の由来はモーツァルト作曲のオペラ『魔笛』に因む。パパゲーノは恋に焦がれて自殺しようとしたが、3人の童子が現れて「やめろよパパゲーノ、人生は1度だけ2度とはないよ」との歌によって自殺を思いとどまる。特に、厳しい環境で自殺念慮を持った個人が、その危機を乗り越える報道内容は、有意な自殺予防効果があるとされている。
(パパゲーノ効果Wikipediaより)
なお、自殺の場合、成功した、とは言わずに既遂という。未遂、既遂、そして失敗。
自殺を図った人のうち3人に2人は失敗している。
失敗した例……意識を取り戻すことはない。いわゆる植物状態に。
植物状態とは、呼吸や体温調節、血液循環などの生命維持に必要な脳幹は機能しているが、頭部の外傷や脳への血流の停止などが原因で、大脳の働きが失われて意識が戻らない状態をいう。自力で動けず、食べられず、失禁状態で、意味のある言葉をしゃべれず、意思の疎通ができず、目でものを認識できない、という状態が永続する。
一歩踏み出した結果こうなることは、おそらく知らない……
(彼らは皆自殺失敗者です。自殺未遂の「それから」より)
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