第138話 ひとりの夜

文字数 1,221文字

 ひとりの夜は何年ぶりだろう? 
 コロナ禍で社員旅行がなくなった。正社員ではなくなり出張もなくなった。
 得意先の方が亡くなり、葬儀に行く者がコロナの濃厚接触者になったので、急遽夫が代わりに行くことになったのだ。黒の礼服はしばらく着ていない。
 結婚式に呼ばれなくなった。というより、結婚するという話を聞かない。以前は冠婚葬祭はしょっちゅうで家計への負担が大きかった。今は葬儀も家族葬が多い。
  
 久しぶりの一泊旅行。夫のいない夜。通夜と告別式だ。喜んではいけない。
 自分だけだと夕飯の支度をしない。残り物ですます。
 おそらく夫がいなかったら、私の食生活はひどいだろう。でも栄養は取れる。
 1群、牛乳、ヨーグルト。2群、納豆、豆腐をパックのまま、ツナの缶詰。3群、サラダと具沢山野菜スープは3日分は作っておこう。真空にする容器も買ってある。もずく、めかぶもパックのまま。4群、パンはホームベーカリーで焼く。ご飯はパック。バター、ジャム。挽きたてコーヒーに砂糖と乳脂肪の濃いミルク。
 
 昨日は仕事だった。3時間の間に入浴介助がふたり。ひとり目を8時半に入れろって。食べたばかりの血圧の不安定なお年寄りを。大丈夫なのか? 90歳過ぎた方は血圧が170を超える。170までは短浴ならOK だそうで。怖いけど。

 3時間の仕事でも疲れる。午後はだらだら。雨なのでウォーキングは中止。
 テレビはひとりだとつけない。iPadでダニエル・グレイグの007を観た。ラストの作品。そのあと、楊貴妃の映画を途中まで。

 夜久々にピアノを弾いた。消音装置付きだから。マンションだから昼でも下手な音を出して弾くことはない。しかし、なぜ昼間はやる気が起きないのだろう? 
 それからフラフープ。右に500。左に500。今日は数回落とした。まるきり落とさないで回せる日もある。ダンベル体操を少し。ゴルフの素振りを少し。

 お嫁が母の日にキャンドルを送ってくれた。ジャスミンの香りの強い……よく海外ドラマで見るのでそれを付けてお風呂に入っている。電気を消して(洗面所はつけておく)いいムード。ぬるめの湯につかる。これはいい。風呂掃除を念入りにやる気になった。昨日は側面、今日は床。いつまで続くか?  

 昼寝したので眠くはならない。悪循環。12時過ぎにランキングを見て、ある作品を開いた。初めての作者さん。なんと、1話完結10万字弱。まさか最後まで一気に読み終えるとは思わなかった。
 最初は嫌だな、と思ったのだ。性犯罪。漫画やドラマなら復讐劇。それこそ、切っちゃえばいいのよ……
 ではなく、立ち直っていく過程。さらにひどい環境に育った子供たち。まるきりフィクションではないだろうな。事実は小説より……だと思う。旭川の犯罪などはなるべく読みたくない、知りたくないと思ってしまう。
 やがて被害者にも来る。雪解けの日。

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