第157話 職場の雰囲気

文字数 1,412文字

 ひと月休んでひと月出てきた二十歳のスタッフが異動になった。
 なにがあったのか? 今より遠い施設に異動する。辞めると言うのを施設長に止められたのだろうか? 
 万年人手の足りない介護施設。新人には家賃の負担が月に8万円もある。それを1年以上。それで辞められたらたまらない……

 今の介護施設、若いスタッフは少なくなってしまった。面白くはないだろう。3交代で連続した休みも取れない。ひとり暮らしで、話す相手はいたのだろうか?

 最後の日の3時間、一緒に働いた。月に数度しかなかったことだ。まさか、この私が原因ではないだろうな? 
「○○苑に行くのね? 頑張りなよ」
 帰るときにひとこと言った。こちらから話さなければ、挨拶もなしだったのだろうか?
 
 少し前、パートが異動した。・・・さんが口を利いてくれない、と愚痴っていた。生活かかっているので、それくらいで辞めるわけにはいかないから施設長に相談し、よその部署に異動した。そこではうまくやっているだろうか?
 続けてふたり異動した。パートはともかく、1年頑張った新人が、働く気をなくした……?

 人間関係か? 
 正社員は50代の独身女性がふたりと50代の妻帯者ひとり。雰囲気は? コミュニケーションがあまりない。話している暇はないのだが。
 忙しい。次から次。朝の排泄。浣腸されてベッドでわめく男性。早くきれいにしてほしいだろうに。気持ち悪いだろうに……すぐにはできない。男性はおかまいなしにわめく。見かねて職員に言いにいけばムッとされた。
「次だって言っておきますね」
まだ相当待たされるだろうな。私は入浴介助に。

 週に3日になったから、食事形態が変わっていても気づかなかったりする。水分量が変わった。
「ノートに書いてあります!」
 スタッフの異動を知らなかった。
「サイボーズに出ています!」
 スタッフルームのパソコンは2台。パートが見る順番が回ってくるのは仕事開始ぎりぎり。3時間勤務なのに、10分以上早く行く気はない。
 口で教えてくれよ……
「△△さん、退院はまだですか?」
と聞きたいがやめた。返ってくる言葉を想像する。
「わかりました。2度と聞きません」
と言ってしまいそうだ。

 隣のリーダーは来るのも遅いし仕事も遅い。しかし楽しそうに働いている。喋っている。関係ない事を。話しやすい。家族が面会に来ているのに慌てないが。

 また、職員がひとり足りないままシフトを組む。超勤が増える。疲れているのがわかる。先日は夜間に救急搬送があり、ひとりの夜勤は付いて行くから、4ユニット40人をひとりで見ることに。
 朝、疲れ切って車を運転して帰る。前に、自転車で木に激突したというスタッフがいた。夜勤が2日続くこともある。

 いつ新人が来る? 新人が来れば経験者でも、付いて教えるので時間がかかる。新人はひとり立ちするまでに半年かかる人もいる。
 育てなければならないのに。

 いつ新人が来る? コロナ禍で職を失っても来やしない。 
 
 就活情報サイトに載せられた、底辺の職業ランキングに批判殺到。12の職を羅列……運営会社は削除した。
 介護士は底辺職のランキングに入っていた。
 底辺職の特徴は
1 肉体労働である
2 誰でもできる仕事である
3 同じことの繰り返しであることが多い
デメリットについては、
1 平均年収が低い
2 結婚の時に苦労する
3 体力を消耗する

 就職情報サイトの運営会社の収入は? 結婚の時には?

 
 
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