第156話 健康

文字数 1,108文字

 梅雨が明けた? 平年より二十日以上早く?

 その暑い日に、孫の子守りを頼まれた。娘が検査の結果を聞きに行く。予約は午後2時。
 暑い時間に娘の家まで歩いて行く。バスに乗っても中途半端。近くまでは行けない。
 ゴルフ用の氷嚢に大きな氷を詰め、ペットボトルの茶を凍らせ、着替えのTシャツを持つ。大きな帽子に大きな日傘。
 早足で45分歩くぞー!

 覚悟して出ればそこまで辛くはない。日頃のウゥーキングの成果はある。途中コンビニで昼飯を買う。子守りを頼まれ、皆の弁当も買っていく。

 娘は支度に時間がかかる。電車に乗るので念入りに化粧している。マスクをするのだからどうでもいいのに……私はスッピン。日焼け止めをたっぷり塗っただけ。髪も染めなければならないのに、来月の旅行に合わせ伸び伸びだから退色がひどい。見事なオレンジ色。ヤンキーみたいと娘に言われている。

 娘は太っているがおしゃれだ。来週は美容院とネイルだから、また子守を頼まれた。私が子育ての時は美容院などは半年に1度、夫に頼んでも気が気ではなかった。
 友人がネイリストなのでときどき練習のために爪を貸す。化粧よりネイルより、まず痩せるべきなのだが。
 この友人は娘がひとりいて離婚した。ネイルで生活していけるとは思わなかったが頑張っている。やはり太っていたがライザップで痩せたそうだ。娘には入会金も払えない。

 孫と遊んでいるとラインがきた。

『検査の結果、なにもなし。しこりはまだ小さいから半年に1回調べましょうって。
 お痩せなさいって』

 ホッと一安心。
 しさし、なぜ、バセドウ病の疑いなど?
 夫も肺がんの疑いで癌研まで行ったことがある。あのときは覚悟していた。死なれたあとのことまで考えていた。嬉しい誤診……?
 
 今回は主婦がいろいろ検査できてよかった。太っていてもコレステロール等の数値も正常。金はかかったが、健康診断したと思えばいい。

 この娘は生後5ヶ月で心臓手術をしている。孫は脇の血管腫を去年手術した。娘の旦那の父親はこれから、心臓の手術をするそうだ。義兄は人工透析に心臓手術済み。義妹の旦那は脳梗塞。義妹は高血圧。もうひとりの義妹は交通事故で2度手術している。姉は潰瘍性大腸炎。義兄は持病だらけ。

 自分はつくづく丈夫だと思う。検査をしていないだけなのだが。私の母は寝込んだこともなかったが、50歳で心不全で急死した。私は、もうとうに母の年齢は超えたし……

 健康診断をしろと夫にも娘にも言われる。施設では週20時間以上働いていれば、パートでも無料で毎年健康診断がある。短時間パートの私は自費だ。特に催促もされないからやっていない。やらないから健康だと勝手に思っている。
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