第6話 曲(続き)

文字数 987文字

 ベートーベンのピアノソナタ第17番、テンペストの第3楽章……月光、悲愴、熱情より好き。比べることでもないが。
 ハンマークラヴィーアはやっと耳に馴染んできた。

 テンペストは『冬のソナタ』でヨン様のママが弾いていましたね。

 娘が、
「おかあさんこういう曲好きだよね」
 なんか否定的。こういうの、好きではない人がいるの?

 今は携帯からピアノソナタ全曲聴けちゃうから夢のよう。32曲をエンドレスで。
 ベートーベンのピアノソナタ第1番。第1楽章は馴染みがある。娘が習っていたが、第4楽章は聴いたことがなかった。速い。劇的。好きだ。
 この曲を主人公に弾かせよう。

 名曲集には、せいぜい月光、悲愴、熱情、テンペスト、ワルトシュタイン、ハンマークラヴィーアくらいしか入っていない。
 それが携帯のサブクリプションでは全曲聴けてしまう。それも何人かのピアニストのものを。いいのですか? 月々500円で。
 マーラーの交響曲も全部、いいんですか?

 ベートーベンのソナタは流しっぱなし。知らなかった曲、後期の名曲。ハンマークラヴィーアがいいってわかったのは最近。そういえばベートーベンのベストテンで、ゲストの方がハンマークラヴィーアが入ってなくてがっかり、憤慨してらした。

 モーツァルトはずっとわからなかった。今でも長調の曲はダメだなあ。短調のは好き。映画『アマデウス』の交響曲第25番ト短調。携帯の着信にしたこともある。
 そしてピアノソナタ第8番イ短調。初めて聞いたピアニストがイングリッド・ヘブラー。他の人だと違和感が。この人だと明るくて涙が出そう。

 エルガーのチェロ協奏曲ジャクリーヌ・ディプレの演奏。
 たまたま『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』という映画のビデオを借りて観た。内容も衝撃だったが、第1楽章に魅了された。すぐに買った彼女のライブ盤には観客の咳まで入っていて、他の演奏だと違和感が……
 去年コロナで中止になってしまったが、区のコンサートに行くつもりだった。プログラムにエルガーのチェロ協奏曲が。滅多にお目にかかれない。過去にも行ける範囲ではなかったと思う。あれば行ってただろう。目に触れなかっただけか?
 残りの人生で生演奏を聴く機会があるだろうか?

 中居くんのドラマ『砂の器』の途中に流れた。第1楽章。
 2楽章は賑やかだ。
「ああ、うるさい」
「あなたには雑音ね」
となるわけです。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み