第7話 薔薇

文字数 907文字

 5年ほど前から趣味に加わった園芸。狭いベランダでハーブから始まりミニバラ、寄せ植え。ほとんど消耗品で金使った。
 そして手を出した薔薇。ベランダなのに1メートルの丈のクイーンエリザベス他3鉢。
 春に葉が茂った頃、必ずやられるうどん粉病。葉も蕾も小麦粉ぶっかけたみたい。薬剤使っても効果なし。手でひたすらこすり落とす気の遠くなる作業。空気感染の早さ、恐ろしさ。
 懲りずに鉢は増え、秋にはまあまあの花を咲かせた。秋は花持ちも長い。寒い時期に植え替える。土をブレンドして中腰で、大変な作業。春になるとまたうどんこ病。
 調べて取り寄せた納豆菌の薬剤。これはいいみたい。臭いけど。おかげで今年は大きな蕾が全ての薔薇に。咲いた。りっぱな1番花。
 南向きのベランダでは花の命は短い。せめて写真に。期待してます。秋に咲く、もっと深い色味の花持ちのいい素敵な薔薇を。

 薔薇 おお 純粋な矛盾 よろこびよ

 西武ドームで行われていた『国際バラとガーデニングショウ』が2018年を最後に打ち切られた。打ち切り? 楽しみにしていたのに。素晴らしかった。庭がたくさん。憧れのイングリッシュガーデン。それに、ハンギングバスケット。壁に素晴らしい作品が。写真を撮った。真似をして作った。庭のないマンションのベランダでも飾れる。
 でも……植物は太陽に向かう。光源は上だ。葉牡丹が上を向く。横向きはいやだと。

 寄せ植えに凝って、うちのベランダには置き場所がなくなり、ずっと通っている美容院にも置かせていただいた。
 その美容院は東向きに窓があり、外に大きな寄せ植えを2鉢。窓ガラスの内側に多肉の寄せ植え。
 うちは日当たりの良い南向きのベランダ。これがよくないのだ。日が強すぎる。遮光に苦労する。
 東向きは植物には最高らしい。生まれたての日が当たり、強くなる前に行ってしまう。ガラガラだった多肉の寄せ植えが溢れるばかりに盛り上がり垂れ下がり、道ゆく人は立ち止まって覗き込む。
 それに比べて我が家の多肉の貧弱なこと。
 豪快な美容院の女は滅多に水をやらない。多肉にはそれがいいのだろう。外の寄せ植えは見知らぬ人が、水あげてくださーい、と声をかけるそうだが。




 
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