第101話 悪口とプライバシー

文字数 1,730文字

 友人のブログからの転載です。了解いただいてます。
『ちょっといい? 50話 朝のラジオから』

「ものを書くっていうのは、銀座一丁目から八丁目までを裸で歩くぐらいの気持ちでやらないと、いいものは書けないのよ」

 山口百恵さんが、執筆をしていたころにかけられた寂聴さんからの言葉。飾らず、ありのままを書けということだろうが、私にはなかなか難しいこと。書くことにより、今までの信頼関係が崩れる危険があるからだ。寂聴さんは、プロ。裁判を起こされたこともあるらしい。私はプロじゃない。それに今の立ち位置に満足しているから、そんな博打をする勇気はない。


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 このサイトに来て知り合った彼女は、この10ヶ月、毎日投稿している。

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 ノンフィクションのエッセイにファンレターをいただいた。続けてふたりの方から。嬉しくて、気を良くして、もう1話書いてみたが……ノンフィクションは投稿するのに抵抗がある。まさか、関係者が読むことはないだろう。
 ただでさえ、少ない、ほとんど1桁のpv数。だが、躊躇してしまう。褒めているばかりではない。悪口になる。性別を変えても年齢を変えても、わかるだろうか? 投稿していいのだろうか?

 介護現場のエッセイ。投稿して1年近くが経つ。職員はすでに半分以上入れ変わった。投稿しても、万が一読まれる頃には書かれた方はもういないかも? それに本人は読んだとしても、自分のことだとは思わないかも?
 
 フィクションにしてもそうだ。モデルがいる。ひどい性格のモデルがいる。読まれたら自分のことだとわかるだろうか? たぶん思わないだろう。自分では思いやりのあるいい人だと、友達が多く好かれていると、口に出して自慢していたくらいだ。
 私も「お人柄ですよ」なんてお世辞を言ってた……まさか、真逆の登場人物のモデルにされた、なんて思いもしないだろう。

 万が一読まれて、まさか、Cさんが? などと疑われたらどうしよう? すぐに非公開にしたら余計バレる。
 パソコン苦手ですから、サイボーズは指1本で打ってるし、iPadの記録もよくわかっていないし、ID? なにそれ? と、シラを切ろう。
 ああ、ダメだ、アルバイトの子に自慢したのよね。投稿始めの頃。だって、投稿するたびトップページで、なんと、ジャンル別2位とか。
「読んで、読んで」
なんて言っちゃった。
「夜眠れないから読んでみます」
若いのに社交辞令。その後、何も言わないから……読むわけないか。押し付けられても迷惑。
 どうか覚えていませんように。

 ネットの悪口と同じ。名誉毀損……
 削除依頼されたら、匿名を特定されたら……追放、なんて……
 
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 三島由紀夫の小説『宴のあと』は、プライバシー侵害をめぐる訴訟にまで発展した。
「プライバシー侵害」と「表現の自由」の問題が日本で初めて法廷で争われた。
 小説の内容は、元外務大臣が料亭の女主人と結婚 。のちに、都知事に立候補したけれど落選 。その後、二人が離婚するまでの私生活を、実在したある人物がモデルで描かれたもの。
 モデルにされた方が、三島由紀夫と出版社を相手取り、プライバシー侵害を理由に謝罪広告と損害賠償を求めて争うことになった。
 判決は
「正当な理由がなく他人の私事を公開することは許されない」
「私生活をみだりに公開しないというプライバシーは法的に保護すべき」

【保護すべきプライバシーの要件】
1.私生活上の事実、またはそれらしく受け取られるおそれのある事柄であること
2.一般人の感受性を基準として当事者の立場に立った場合、公開を欲しないであろうと認められるべき事柄であること
3.一般の人にまだ知られていない事柄であること
4.このような公開によって当該私人が現実に不快や不安の念を覚えたこと

 さらに判決では
「表現の自由」は「プライバシー権の保護」に優越するものではなく、小説がいかに芸術的価値において優れていたとしても、プライバシー権侵害の違法性は免れない、と述べている。

「この物語はフィクションです」というテロップは『宴のあと』裁判でプライバシーに関する論議が盛んになり、ドラマの最初もしくは最後に放送するようになったという。

Wikipediaより





 



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