第179話 心配しないで

文字数 1,106文字

 4月から仕事を減らし、今は週3日、朝7時から10時までの短時間勤務になった。歳なのだ。立ち仕事の力仕事なのだ。

 ところが、10歳くらい年下のパートの女性に言われた。
「10時に帰って、なにやってんの?」

 その方はどんどん働く時間を増やしている。帰ってからは犬2匹の散歩。娘が孫を連れてしょっちゅう来るという。子育てに滅入っている娘が、孫を怒ってばかりなので、かわいそうだから夕飯食べさせ風呂に入れて帰らせる。旦那さんも来るらしい。
 ーー
 10年前は私もすごかった。夜7時まで立ち仕事。帰って家事。済ませてから走りに行った。30分。5キロを30分で。休憩は信号だけ。
 休みの日は、朝40分歩いてジムに通い、トレーニングにプール。昼も食べずに歩いて帰ると3時過ぎ。そして夜は走りに行く……

 70歳過ぎた姉は週に4日プールに通い、数キロ泳いでいた。体脂肪は20を切ると自慢していた。
 が、ひと月ほど前、突如のめまい。顔も洗えず拭いているとか。少しずつ良くはなってきているが。
 やはり、元気で動ける時間は限られるのか? また一緒に旅行できるだろうか?
 こちらはまだ、ゴルフの早朝スループレーという、年寄りには過酷なことを、あと2回予定している。

 先日、鍋を買い替えた。考えて、やはり取っ手の取れる安くはないものにして、ふたつ買って喜んで、古いのは廃棄しようと出しておいた。
 夜中目が覚め考えた。もしかしたらガス火用を買ってしまったかも……? この頃は、買ってきたものの包装やタグ等を外してくれるのは夫の役目。買うときも、買ったあとも確認せず、鍋は洗ってしまった。

 あ〜あ。またやってしまった。大きなミス。旅行の時はホテルの金庫に財布置いてきたし……

 スーパーのレジで、Tカードを用意しておかず、モタモタしてしまった。しまうのもモタモタしてしまった。こんなことはなかったのに。
 鍋は娘が喜んで持っていった。しかし……心配したかも。このばあさん、大丈夫か? と。
 今までは、ばあさんの方が大人になった娘を心配していた。ひとり目の孫の時は健診の時にはついて行った。今は自転車に2人乗せて頑張っている。

 でも、この間、施設の総務の男性に呼ばれた。
「処遇改善費振り込むの忘れてしまって……来月でいいですか?」
「……」
「またですか?」
って言いたくなった。こういう人もいるのだ。サイボーズにお知らせがあったのに。生活かかっている人もいるだろうに。
「またですか?」
言った人いるだろうに、平気なんだな。

 注意しようと思ったそばから、ゴルフのレッスンに行って、水筒と、タオルを忘れてきた。電話したけど、迷惑だろうな。触りたくないだろうな。
 
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