第151話 節制してよ 2

文字数 1,112文字

 娘に甲状腺の病気の疑いがある。バセドウ病。逆さまつげの治療で行った眼科で喉の腫れを心配され、内科を紹介された。そこは近いのですぐに行った。血液検査をし、結果を聞きに行く。数値は……まあ、心配するほどではないが、若いから画像を撮ったほうがいい、と専門の病院を紹介された。

 私だったらすぐに行く。夫もすぐに行け、というはずだ。だが、娘夫婦は能天気、お気楽。孫は2歳の男の子。預かるのは私なのだから、さっさと行けばいいものを。

 母に急かされ、ようやく予約を取り行ってきた。
「残念。しこりが7個あるって言われた」
「どこに? ポリープじゃないの?」
「知らん」
「たぶん、良性だって。1番大きいのが7ミリ。血液を5本取られた。喉のエコーは痛いよぉ。心電図も撮られた。体重計られた。また太ってた……」

 母は最悪を考える。
「2歳の子供残して……どうすんのよ?」
「頼むー」

 お気楽娘は太っている。年中ダイエットをしているが、母は諦めた。慣れた。血圧は正常だし、太っていてもおしゃれだし、外出が好きだ。子供が小さいうちから心配するほど旅行している。妊娠中も。来月も沖縄へ行く予定。

 今の旦那と付き合うまでは、スタイルが良かった。背は高いし、働いていた紳士服店では、スーツを着てスカートから出る足もかっこよかったのだ。
 それが、食べるのが好きな100キロ超えの今の旦那と付き合ってから、みるみる太り、出産後も体質は変わらず、上の娘とは30キロ近く差があるはず。

 甲状腺の病気は痩せるのでは? という思い込みがある。知人が痩せて、歩くのも辛そうで、絶対癌だと思われていたが、大学病院で検査してからは元気を取り戻した。

 バセドウ病でも太ることがあるらしい。だったらいつから? 出産後か? 体力はある。自分では動悸がする、汗をかくと言うが、行動的だ。

 そして、このお気楽夫婦はタバコをやめられない。娘はさすがに出産前後はやめていたが、また吸っている。この娘は生後5ヶ月で心臓の手術をしている。父はそれからタバコをやめた。キッパリやめた。

 上の娘の旦那も医者に相談してお金をかけてタバコをやめた。よかったね、なんて言ってたがなんのことはない。また吸っている。
 甲状腺の病気はタバコが1番よくない。バセドウ病でタバコを吸うと、目が飛び出すと脅されてきた。それでも吸う。すぐにはやめられないよ、と。吸わない母にはわからない。

 私の父も、認知症で自分で買いに行けなくなるまで吸っていた。火を出して怒られてもやめられなかった。言っても言っても言うだけ無駄。隔世遺伝か? 

 検査の結果が出るまで、母は悶々としているが、お気楽娘はどうだろう? また太ったりして……


 
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