第43話 女友達 2

文字数 914文字

 中学でスミレと同じクラスになったサツキは、家が近かった。新築の建売だ。姉と弟がいる。ふたりは陸上部に入り一緒に通学した。保護者会でスミレの母はサツキの母と顔を合わせた。
 マラソン大会は土手で行われた。見学に行ったふたりの母は共に応援した。サツキは余裕でトップ。スミレはかろうじて3位。ふたりの母は共に帰った。

 3年間、スミレとサツキは友達だった。途中サツキはアパートに越して行った。母親はスーパーで働いた。学校に来ていない、と電話があり母は驚いて探した。ふたりは一緒にサボっていた。

 卒業式の日、サツキはスミレの家に泊まった。皆で遊んだあと、泊まった。親には連絡してあると言う。翌日もサツキは泊まりたい……帰りたくない、おとうさんが首を絞める……と。母はサツキの親に電話した。サツキの父親が出た。すごい剣幕だった。オタクには関係ない……母も自分でもびっくりするくら言い返した。帰りたくないって言ってるんですよ。だったら、迎えにきなさいよ。

 父親は迎えにきた。怖かったが、スミレの母は必死で抗議した。サツキは未だにスミレにそのことを言うらしい。母は強かった、と。結局は何もできずにサツキは帰ったのだが。母はそっと携帯電話を渡した。
 サツキの家に電話すると母親が出て泣いた。私がしっかりしないから……
 気が気ではなかったが、サツキはおじいちゃんの家に逃げた……

 その後両親は離婚した。サツキは高校をすぐに辞めひとりで暮らした。バイトを掛け持ちして、疲労で下血したとか。その後は福祉の仕事をしたいからと大検を受け、キャバクラで働いた。
 スミレに彼氏ができると、彼氏の悪口を言った。付き合うのはやめた方がいい、と。スミレが言うことを聞かないと、母に電話してきた。
「スミレさん、彼氏に騙されてます。彼氏のためにキャッシングしてます」
母は本気にした。
「いくら?」
「400万くらい」

 しばらくサツキとの付き合いはなくなった。メールだけは時々していた。サツキは大学に合格し卒業した。就職したのは別の分野だったが。
 スミレは結婚した。サツキも結婚した。スミレが犬を飼うとサツキも飼った。やがてふたりとも子供が産まれた。メールは時々あるようだ。
 
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