第144話 責任感

文字数 1,270文字

 昨日朝出勤したら、ロッカーで3人が話していた。感染防止で挨拶もしてはいけないのだが。上手な日本語を話す3人が、
「今日で5連勤。眠いー」
「昨日は8時に寝た」
「きついー」
 どこのユニットも同じなのだ。

 来月のシフトが出ていた。ひと月休暇を取った女性は空白のままだ。来月もひとり足りない状態のままか。昨日の夜勤の女性は今夜も夜勤。13時間後からまた勤務だ。
 
 隣のユニットの早番は、私よりあとに入った10歳くらい若いパートの女性。それこそ周辺業務と差のない時給で、常勤と同じ仕事をこなしている。契約更新をしたらしいが、時給は上がらず。
 この契約更新の総務の例の(135話 向き不向き)男性が、施設がオープンした時、パート全員に時給千円で契約書類を書かせた。のちに、パートには周辺業務もいるわけで、その者たちは最低賃金だから、2度目の給与から払い過ぎた分を差し引かれたという。

 隣のパートの女性は、朝も契約した時間より30分も早くに来る。手当は出ない。間に合わないから早くから動く。手際がいい。(常勤のリーダーよりも)
 私が配膳を手伝いに行くのだがこの女性の時は楽だ。人当たりもいい。お年寄りの扱いがうまい。スタッフのために菓子を買ってくる。夜勤はよく食べている。なぜ収入の少ないパートが買ってくるの? と私は思ってしまうのだが。
 折り紙が上手だから、素晴らしい作品を作ってきて、廊下からリビング、個人の部屋まで飾っている。折り紙代は自腹だ。5年間続けている。腕は上がっていく。
 そして、時給に文句を言わない。先日、犬の手術に60万もかかったのに。(関係ないか)
 誠実な人だ。
 
 私は文句ばかり言っている。今日も朝から便で汚した人の分もあわせてシーツ交換が3床。こちらのユニットの女性の常勤も手際が良くて、シーツ交換を終えて戻ると、山になっているはずの洗い物が終わっていた。状況にもよるだろうが、手際の良い悪いの差が極端だ。話せば彼女も腰痛、めまいの持病がある。私が腰が痛い、と言えば、
「私も痛み止め飲んできたんですよ」
と、やんわり。50歳を過ぎ、いつまで続けられるだろうと不安を口にする。独身で老後独り身だとアパートも借りられないからと、マンションを買ってある。

 今日入浴介助をした方は、90歳を過ぎているが人手が足りないのを感じている。車椅子だがしっかりしている。なるべくナースコールを押さないのだそうだ。こういう方ばかりだとありがたいのだが。

 ある結果によると、さまざまな性格のうち、認知症の発症リスクと最も強く関係していたのが「責任感」だ。責任感が強い人はそうでもない人と比べて、発症リスクが約35%低下していた。また、「自制心」と「勤勉さ」も認知症の予防につながっていることがわかった。
 これらの3つの要素を合わせ持った人、すわなち、責任感があって、自分をコントロールでき、勤勉な人、「誠実な人」が認知症になりにくいということらしい。

 どうだろう? 病院の偉い先生だった方もいるが。気に入らないと職員に、クビにしてやると叫んでいる。

 

 
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み