第8話 会社

文字数 488文字

 20年くらい前、某化粧品を定期購入していた頃、嬉しいご招待があった。会社見学と、新商品のアンケート、対談、それに 肌のお手入れ、プロがメイクして写真を撮ってくれる。土産付き。
 1時間もかからないところだったのでお受けした。
 集まった10人くらいの同年配の女達は和気あいあい。スタッフの対応も申し分なし。広い社内を見学した。
 そのあとはひとりずつ、新商品の香水の意見を。これが長かった。こまごまと聞かれた。表現するのが難しい和の香り……
 そして待望の肌の手入れとメイク。何人かのスタッフが褒めてくださる。肌がきれいだと。褒められてその気になる。プロが写真を撮ってくださる。鏡の中の自分は今よりずっと若く……プロの手にかかったのだ。期待した。冊子に載るのではないかと。
 そして、対談。集合写真。土産までいただき大満足し帰った。

 後日送られてきた写真には期待していたのだ。遺影にしようか、なんて……
 しかし……
「おかあさん、実物のが若いよ」
 それは真実か慰めか。
 
『パパが大きくした会社は祖父の代とは比べものにならない』……は、そのときの会社をイメージした。有名な大きな会社です。



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