第124話 登場人物の名前

文字数 1,080文字

 コナン・ドイルはシェイクスピアの『十二夜』をかなり気に入っていた。
 主人公である『ヴァイオラ』の名前と似たヴァイオレットという名前の人物は、シャーロック・ホームズの物語のなかに複数人登場している。『(ぶな)屋敷』では、ヴァイオレット・ハンター、『美しき自転車乗り』ではヴァイオレット・スミス、『高名な依頼人』ではヴァイオレット・ド・メルヴィル、『ブルース・パティントン設計書』ではヴァイオレット・ウエストベリー。
 ヴァイオレットの名の付く4人が登場している。

 メアリーという名前の女性は9人も登場している。しかしそれらの女性すべてが、悪者だったり不幸な人生を背負っていた。
 コナン・ドイルの母親がメアリーという名だった。ドイルは母親とは非常に複雑な問題があって、それがストーリーにも現れているという。
 ワトソンが結婚した女性もメアリーだった。結婚したのに亡くなってしまう。財宝を手に入れ損ねたし。

 好きな作者さんの物語にも同じ名前が何度も使われている。姓も名も。店の名も。
 新作も○上、並行して読んでいるのにも○上、その前の作品も、○上だった。名前も△雄。女性は*。店は▲▲▲。
 何かこだわる理由があるのだろうか? 思い入れが?
 またですか? と笑ってしまう。慣れたけど、この間の○上さんはいい人だったのに。私は時系列に表にしてみたくなる。年齢、職業、性格等々。

 クマゲラ、マヒワ、ミサゴ、レンカク……なぜこんな(変な)名前をつけるのだろう? もっと覚えやすい名前にすればいいのに……
 そう思いながら読みました。56万字の大長編。読み終えて、だいぶ経ったある時、川沿いをウォーキングしていたときに、それは解明された。
 作者は、すぐにわかると思ったのだろうか? 他の人はわかるのだろうか? 私が無知なだけ? バカだった。
 ああ、楽しいだろうな……こういうのは好き。
 
 5部作あるという。登場人物の名前は決まっているのだろうか? 他人の作品ながら気になる。自分だったらどうしよう? すぐにはわからないような名前。花も木もすぐにわかってしまう。木の名は自分のエッセイに使ったけど。コデマリさん、カリンさん、ネコヤナギさん……
 魚、動物、なかなかない。

 ひらめいた。自分だったら、これを使おう。色の和名。
 韓紅(からくれない)銀朱(ぎんしゅ)蘇芳(すおう)灰桜(はいざくら)浅葱(あさぎ)紫紺(しこん)
 すぐに色の名前だと気づくだろうか?

 人物の名前は決まった。あとはストーリーを……思いつかない。誰か、使ってくださいな。

 次の登場人物は、誰から取ろう? 私は安易にいただいてしまった。春樹、治、文、島崎、三島……次は久作にしようか。

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