第108話 年金

文字数 1,246文字

 誕生日が来た。特別な誕生日。老齢年金をもらえる年になった。長年保険料を払ってきた……わけではない。サラリーマンの奥さん(3号)だから。
 考えると、ずるい制度だと思う。いただく身ではあるが。

 サラリーマンの奥さん制度は、長男が幼稚園のときにできた。仕事を辞めて結婚。数年は国民年金を払わなければならなかったのだが、当時は無知だった。だから未納期間がある。払う余裕もなかったような……
 制度ができたときも無知だった。訳もわからず幼稚園の母親数人で手続きに行った。下の娘をおんぶして。年金をもらう歳になるなんて、はるか先のことだと思っていた。面倒くさい……なんて思ったけれど。

 それだけで、今後死ぬまでもらえるのだ。まあ、旦那様に感謝。しかし、女は長生きだ。90、いや100歳まで生きたら、ざっと2千万円。最後までもらえるのか? はたまた破綻するか、どうなるやら?

 定年まで働いていた姉は怒る。もらえる年金額に、そこまでの差はないと。ほぼフルタイムで40年働き保険料を給料から引かれてきた姉と、配偶者控除内で働き、自分では一銭も納めてこなかった私。

 今の施設では週20時間以上働くと社会保険料が引かれる。もう、配偶者控除内で、ずっとサラリーマンの奥さんで、という人は少ない。私は歳だし、ぎりぎりに抑えているが。だから、賞与はもらえない。勤続手当ももらえない。今の施設では古株なのに。オープン当初からいますのに。健康診断も自腹だ。

 年金の手続きは面倒くさかった。今でもちょくちょく通知がくる。入っているハガキに記入して送り返す。これが、まだ慣れないので、切手を貼り忘れてしまう。また戻ってきてしまった。手紙は出さなくなったし、保険会社だって通販だって、切手を貼って出す習慣などなくなっていた。手持ちの切手は昔の年賀はがきの当選でいただいた52円切手、それに10円と1円切手を貼り付ける。

 去年は夫の給料が大幅に下がったので、ようやく年金を全額いただけるようになった。給料が多いと年金は減額される。それでも働いてくれた方がいいのに。休みが多くてイヤになる。

 加給年金をご存知ですか? 夫が65歳になった時に、妻が年下だった場合に加算される。(厚生年金加入20年以上等々の条件はあるが)それが、結構いただけたんです。たった1年間だけど。
 振替加算は妻が65歳になったときに代わりに少し付くらしい。むずかしくてよくわからないけど、私の年金はいくらもらえるのやら?
 
 年金をもらいながら働くと、確定申告をしなければならない。医療費も多い。今までは医療費控除をすれば毎年戻っていた。去年は歯の治療代がかかったので、たくさん戻るだろうと、ウキウキしながらスマホでやってみたら……

 なんと、数千円、払わなければならないようだ。
 これは……やらないと、バレるのか? 今はマイナンバーがあるからすべてわかってしまうのだろうか? 皆、きちんとやっているのだろうか? 何年か後に追徴、延滞金、とか? 
 無知ではすまない。
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