第29話 体力 2

文字数 1,451文字

 5ヶ月かけて5キロ、健康的に落ちた体重はそれ以上かけて、ゆっくり戻っていった。しかし、プラス3キロまで。完全に元には戻さない。それだけは……できた。それだけは、少しの努力で、ひもじい思いをしないでもできた。これがベスト体重か? もう、サイズはLでもいいではないか。それでも年齢にしては、まあまあ、だし。年齢には見えない……と、言ってもらえるし……?

 ゴルフを始めて1年が過ぎた。ラウンドも次は6度目だ。次は過酷な真夏の早朝スループレー。5時スタート、休憩なしの18ホール。調子にのってしまった。
 やり終えることができるだろうか? 年齢を考えもせず。

 先日は大雨の中でも頑張った。前日から大雨とわかっていたためキャンセルが多かった。前後の組も途中でいなくなった。靴はビショビショ、足は重く、カッパを着ているので暑かった。私がやめると言えばそこで終わっていただろう。夫は待っていたかもしれない。
 しかし最後まで続けた。水溜まりの中を5回叩いた。出してよかったらしいが……ひどい状況よりもひどいプレーが悔しかった。練習ではうまくできるのに。

 後半終わりの頃には雨も上がり、ゴルフ場には私と夫だけ。広いゴルフ場にふたりだけ。気持ちよかった。こんなことは2度とないだろうな。誰もいない風呂。スコアはどうでも満足感。
 しかし、帰りの車の中では足が攣った。脛側が。水分が足りなかったのか、無理をしすぎたのか?

 さて、真夏のスループレイが決まってから、また歩き始めた。早めのスピードで1時間。仕事の日は夜に。休みの日は朝も晩も。目標ができると食事の後片付けも早い。遊歩道ではお馴染みさんが。スケートボードの少年たち。猫に餌をあげる女性。犬たちの社交場。スポーツセンターでは少年たちのサッカーの練習。その周りのコースを走る人、歩く人。私は500メートルを早歩き。そして来た道を戻る。汗びっしょりだ。汗をかかないばあさんが。この頃は仕事中でも汗をかくようになった。体温が36度を越えるように。

 そして迎えた、連続の猛暑日の早朝プレー。夜中に起きていくのはなんでもない。いつだって眠れないのだから。その日も3時間くらいしか眠れなかった。ゴルフウェアを着て行く。更衣室は使えない。ゴルフバッグも自分でおろす。しかし日中と変わらない車と人の数。
 前の組はふたり。上手だから早い。後ろの組は4人。待たされず、追いつかれず。私の腕も多少上がり、スムーズに。前半はまだまだ暑くはなかった。太陽が上り眩しくてボールが見えない。
 徐々に気温が上がっていく。休憩なしだから着替えもできない。足は平気だ。カートに乗れないほうが多いが大丈夫だ。腕が辛くなる。腕だけで打っているから。それに、ドライバーのあとはクラブを3、4本持って小走り。足は平気だ。鍛えた成果。顔に太陽が……顔が赤いけど大丈夫か? と聞かれた。体調は問題ない。焼けてもマスク生活だからまあ、いいか。

 無事終了。やり終えた。足は余裕。でも腕が痛い。次は腕を鍛えなければ。力を抜けるようにしなければ。シャワーを浴びる。来ていた服も下着もびっしょりだ。スコアはまだまだだが、前回よりは内容はいい。

 12時前に帰ってきた。これは効率がいい。また行こうか。
 体重を計った。過酷なプレーに食事も少なめ。なのに減っていなかった。体脂肪が少々落ちただけだ。
 痩せなくてもいい。これだけの体力が維持できるのなら。
 
 翌朝も歩きに行った。1時間。体重は変わらず。やはり運動だけでは落ちないのか?

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