第131話 ゴルフ 3とファンレター

文字数 898文字

 ある雨の寒い日、ゴルフをしていた。前々日まで暖かく晴れが続いていたのに、行くという日には雨で気温は4度。以前、大雨で他の組がほぼキャンセルをした日にも、老年のバカ夫婦はやめなかった。
 高速代を使い、金を払うからには途中でやめるという選択肢はない。
 
 大雨を経験していたが甘かった。気温が違う。体は、下手なために動き走るので、そこまで寒くはないが、手はかじかみ、靴は重い。
 滑る斜面をボールを拾いに行った。ボール1個のために、なにをやっているのだ? ここで滑って落ちたら……何やってんの? 年寄りが! 

 今回は、前のグループもその前もキャンセルしていない。雨の中、長い時間待たされた。寒い。カートの下も寒い。まるで修行。

 でも、昼に戻って、カッパを脱いで携帯を開いたらメールが! ファンレターが? 
 ファンレターだ! 寒さも疲れも空腹も、スコアのひどいことも一瞬で吹き飛んだ。

 1年近く前に投稿した、ほとんど反応のなかった小説。アクセスも少ない作品にファンレターが! お気に入りも、星の大盤振る舞いもこの方だったのね。なんていい方なんでしょう!

 心ウキウキ。後半のさらに強い雨もなんのその……雪に変わるのではないかと思うくらいだったが、夫は私より動かないからもっと寒かったろうに、私は、夫のことなど考えもせず、ファンレターをくださった殿方のことを思っていたのだった。返信の内容を考えていたのでした。

 私も何人かにファンレターを出したことがある。励みになります、と返信がくることがある。でも、緊張する。いただけばこんなに嬉しいのに。

 ファンレター欄を読む。返信を読む。それから、その作品を読むことも多い。なんだか、ひとの書簡をのぞいているようなのだが……
 ある人のコメント。ファンレターも作品なのでは? と。そう、ファンレターを読むのはおもしろい。

 惜しみなくファンレターを出している方がいる。相当読んでいらっしゃる。私もいただいたことがある。しっかり作品を読んでくださっている。
 私も読んでいる大長編の作品のファンレターを見つけた時は嬉しかった。私の方が先に見つけて読んでるのよ、なんて優越感が。
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