第176話 眠れない

文字数 1,409文字

 ブティックで働いていた頃、客は60代前後かそれ以上の方が多かった。裕福な、時間を持て余す奥様達が店で時間を潰していく。
「毎日いらっしゃいます」
なんて、入ったばかりの時はびっくりした。ブティックは毎日来るところなのか?

 その方達は「眠れない」と悩みを話した。話題のひとつだ。
「アタクシ、入眠剤をいただいてますのよ」
なんて、会話に、「疲れれば眠れるでしょ」と思っていたのだ。

 眠れない時期があった。横になっても眠れない。眠り方を忘れた……眠るのってどうやるんだっけ? みたいな。
 夫は、眠っていないと思っても寝てるよ、と言った。よく寝てたよ、と。
 でも、自分では眠れていない。長時間勤務の立ち仕事なのに、現金やカードを扱うのに常に頭がぼーっとしている。

 考えた。理由は? 検索した。
 薬の副作用とか? その頃医者にもらっていた鼻炎薬を調べてみたら……普通、鼻炎薬は眠くなるものだが、コメントに何人かいた。
眠れない。眠れない……
 医者に言って薬を変えてもらうと眠れるように。あれ、続けていたらどうなっていただろう? 

 今は薬は飲んでいない。時々頭痛薬を飲むくらい。あとキャベジン。私の年では珍しいのではないだろうか? 皆、降圧剤を服用したり持病がある。
 姉とのランチのあとの薬の多さに驚いた。目薬も。持病の潰瘍性大腸炎に、めまいの薬。サプリメントを飲むなら、おいしいものを食べたほうがいいと言ってた人なのに。薬のせいか味覚がおかしいという。
 夫の薬代も毎月高額だ。こちらはなにを食べてもおいしくて、食欲を抑えられない。痩せなければならないのに。塩分制限があるのに、辛いものやカップラーメンを食べたがる。

 夜1時間歩いてる。そうしなければ眠れる気がしない。夜になってしまうのは、日焼けしたくないからだが。(あと、なるべく夫といたくないから……)
 声はかける。でも、休肝日でも行かない。時々ついてこられると速度が遅くてイライラする。以前は私が合わせて小走りになっていたのに。
 30分歩いたあたりから感じる。脂肪が燃焼されていく……でも、1時間以上はなかなか歩けない。
 
 アロマキャンドルを付けてのんびり湯船に浸かる。お嫁が母の日にプレゼントしてくれた。泊まりに来た時には、ゆっくり浸からせてあげる。1歳の子がいるので普段はとても無理だから。
 そして眠りにはつくが最初の目覚めは12時前。そして眠れなくなる。眠りかたを忘れた〜 
 眠っても2時間以内に目を覚ます。明け方までそんなことをして、諦めて執筆したりランキングを見たり。

 いつも3時過ぎには目が覚めている。前日のpv数が出る時間なのだが。そして、おなかがすいているのだ。歩く前にはなかったことだ。でも、起きて食べたくはない。そうしていると隣の旦那の声が聞こえてくる。あああーっ、と大あくびの声。時たま、娘との大喧嘩。
 気にしないで眠りたい。8時間くらい眠りたいが、年寄りに、もうそのエネルギーはないそうだ。
 時々、昼寝をして、驚くほど眠ることがある。帳尻合わせ?
 月に1度か2度。時間を見たら6時半?? 朝? 大変、寝坊した。おとうさん??

 ああ、眠れたあ。大変。夫が帰ってきちゃう。
 でも、2時間以上眠れた! 頭がスッキリ。この状態は滅多にない。脳が指示する。頭の中で献立が組み立てられる。洗濯物を放り込む。30分で何品か作り洗濯物も畳む。
 いつもの30分と大違い。

 




 
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