第17話 体力

文字数 977文字

 10年前は体力に自信がなかった。1泊旅行でもぐったり。デパートへ行けば頭痛が。仕事は週に3日、10時から7時まで立ちっぱなし。ほぼ1日置きだが、休みの日は出かける元気もない。時々、イベントで4日連勤などになるとまぶたがピクピクし、最後の日は朦朧として、風呂の湯を入れていることも忘れた。

 そんな時、娘がグァムで結婚するって? 4日間のグァム旅行? 
 無理だ。楽しめない。初めての海外だが。

 体力つけなきゃ。まずはウォーキングから。夜、歩いた。目標があるからできた。近くに1周200メートルのウォーキングコースがある。そこで皆歩いていた。走っている者も。私も走ってみた。半周走り、半周歩く。徐々に距離を増やしていく。1周ずつ交互に合計2キロ。
 できるようになると欲が出る。次は2キロ続けて走れるように。これがすんなりできてしまった。続けて3キロ。アプリを取ってタイムを測る。次には遊歩道を走りスポーツセンターまで。そこの500メートルコースを1周し戻る。往復5キロを休まずに。
 走れるようになるものだ。楽しくてしょうがない。
 1度ランニングハイを経験した。知らない道を走った。今日は調子がいい……足も重くない。そろそろ、スポーツセンターの通りか? なんて思っていたら大通に出た。〇〇通り。そこはスポーツセンターの倍はある。

 姉と話した。グァムに行くなら泳げるようになりたい、と。そしてふたりで通い始めたスポーツクラブ。ジムで筋力をつけて、プールでウォーキング。無料のレッスンの初心者コースにも入った。水中で息を吐く練習から。フリーだから、行ける日は週に何日でも。仕事があるから1日置きくらい。すでに体力はついた。
 朝、40分歩いて通う。マシンで汗を流してからプールへ。やがて有料のクラスにも入り、クロール、背泳は25メートル泳げるように。昼も食べずに、帰れば3時過ぎ。
 そして夜は走った。5キロ。私はすでに疲れを知らないおばさんに。

 グァム旅行は楽しめた。朝早く起き散歩した。昼はイベント、観光、買い物。ビーチで遊び、夜はプールで泳ぎ、ジャズの生演奏を聴いた。
 それでも夜中に目が覚める。眠れない。眠れない。ベッドでは眠れない。睡眠不足なんのその。朝は早くから夜遅くまで。元気でいられた。頭痛もなし。楽しかった。
 家に帰っても、まだ走りに行けそうだった。

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