第172話 取り返しがつかない

文字数 1,060文字

 息子家族が泊まった。下の孫はもうすぐ1歳だ。来た時に少し人見知りをしたが、慣れてからはにこにこニコニコ。かわいい女の子だ。ママが風呂に入りに行くと(自分はパパとにいちゃんと先に入った)大泣きし、パパが抱いても泣きやまない。

 わが息子ながらよく面倒を見る。おむつも変える。便をすればシャワーできれいにする。ごはんも食べさせる。前髪まで結ぶ。

 ひと時代前、世のパパはこんなに面倒を見ていたのだろうか? 記憶が呼び覚まされる。泣きやまないと、明日の仕事に差し障る……そう言われて、夜遅くおぶって外を歩いた。おぶわれた娘に話したら、ありえない! と言う。

 しかし泣きやまない。集合住宅だから気になる。滅多にないことだから、まあ、いいか。このマンションも、久しく赤ん坊の泣き声を聞かなくなった。たまに犬の鳴き声やお年寄りの叫び声は聞こえるが。

 よく3人も育ててきたと思う。泣かれて泣かれて、そのときは大変だった。若かったから夜中に起きるのは辛かった。

 泣きやまないで、座布団の上に放り投げたこともあった。友人はマンションの高層階から飛び降りたら楽になれる……と思ったこともあるという。

 そういう時期を乗り切れるかは、連れ合いの言葉や態度次第だ。

 ✳︎✳︎
 自分の想像以上に赤ちゃんは泣く。
 赤ちゃんは泣くのが仕事、誰が悪いわけではない。
 泣かれてカッとなって激しく揺さぶってしまうと……脳にダメージをきたしてしまい、言語障害、学習障害、歩行困難、失明、死にいたることもある。

 車に乗るとすぐに寝てしまうのは、心地よい振動でおかあさんのお(なか)にいたときのことを思い出しているのかも。
 そういえば、どうしようもないとき、夫もついに行動した。夜のドライブ。

 どうしても泣きやまないときは、安全な場所に寝かせて、その場を離れる。自分がリラックスしてから戻りましょう。(厚生労働省)

 しかし、親思いの子に育つとしよう。親が苦労したのは3年、15年、20年? 子には介護が待っている。3年、15年、20年?

 それよりも心配なことがある。
 2100年の未来の天気予報を見た。気温上昇により北海道でも稲が育たなくなる。健康障害、生計崩壊、熱波による死亡や病気、食料不足、水資源不足……

 好きな作者さんの小説では、環境破壊は思っていたよりも速い。食料は昆虫。人類は飢餓と争乱と暴動……
 これが、ジャンルがSFではなくて、現代ドラマ・社会派なのだ。

 国民にも環境保護と節約への協力を呼びかけたが、大した成果は出なかった……
 こちらはSFホラー小説。

 


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