第4話 モルヒネ

文字数 586文字

 飼っていたヨークシャーテリアが死んだ。脳腫瘍。同じ所をクルクル周り嘔吐。ソファーに飛び乗れなくなる。

 病院から、大きな病院。さらに大きな病院でMRIの検査を。10万円吹っ飛んだ。検査をしない選択肢はなかったが、手術は選ばなかった。余命1ヶ月と診断され薬代が月1万円。

 薬のせいで太った。トイレが近い。粗相する。
 調べて取り寄せたユーグレナと冬虫夏草。そのせいかわからないが、9ヶ月生きてくれた。かわいそうなのは呼吸が苦しくなること。最後は安楽死か?

 苦しいだろうからモルヒネを飲ませる。起き上がれないはずなのに吠えて立ち上がる。先生が言うには、頭の中はお花畑だって。
「戦争映画で撃たれると、モルヒネを腿に打つだろう」
映画が好きなのか、年配の先生は説明した。

 最期がくるのはわかった。夜の8時から夜中の1時までずっとついていた。モルヒネの効果はあったのか? ときどき立ち上がる。苦しいのか? 
 ネットで調べた。同じような体験が。首を絞めて死なせてやりたい……とか。
 しかし、見ているしかない。看取りだ。あとで調べた。下顎呼吸。苦しそうに見えるが苦しくはないんだ……本当か?

 最後に大きな声で泣いた。猫が死んだ時もそうだった。抱いた腕の中でテディはオシッコとうんちをした。

 死んだあと、モルヒネはしっかり回収された。

 今でもヨーキーが1番かわいい。あまり見かけなくなったが。
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