第104話 ファンレターと返信

文字数 1,081文字

 ついに告白した。ラブ……ではなくファンレターを出した。数ヶ月の間、書いては削除、書いては削除。いつか新作が投稿されたら出すチャンスがあるかも、なんて思っていた。

 ついに出た。新作が。あの方はこんなに思われているなどとは思いもしないだろう。

 何度も読み返した作品にファンレターを出した。すでに手持ちの星はない。いいね、と、作品お気に入り、作者お気に入りは、既にしている。だから、ファンレターは出したけど、ランキングは上がらない。

 新作のほうはトップページにある。私の他に、もうひとり星を入れた方がいる。他人事ながら嬉しい。そしてもっと嬉しいことがあった。お気に入りの作品がトップページに来ていた。星が増えていた。8個も。どういう8個だろう? 8人が、いいねを付けた? それとも、誰かがお気に入りした? 私のファンレターを読んで? だったら嬉しい。

 そして、ついに返信が来た。想像していた方から返信が。

 ここまでで再返信するのはやめておこう。うるさがられたくない。未知の部分を残しておこう。

 実はファンレターは苦手だ。緊張する。誤字誤記。トンチンカンなことを書いてはいないか? 今まで出したのは、考えに考えてどうしても出したい作品にだった。ファンレター欄に登場しない方の作品。投稿されたばかりの方の作品。有名な方のは少ない。どちらも書いて没にしたものはたくさんあるが。時間をかけて書いたものを没にする。下書きは取ってあるが。誰も読まないファンレター。

 昨日も、何度も書いては消したものがある。ある方の歴史もの。出そうか、出すまいか? 結局やめた。いいね、は入れたけど。拙尼は無知だから。

 ある方からファンレターをいただいた。その方は、どうしても気持ちを伝えたい、という衝動で書いている、と。だから、目に留まればそれで充分……返信は無用とのこと。末永くファンでいたい、と。身に余るお言葉。感謝の至り。感激の極み。

 ファンレターを出せば、ほぼ返信はいただける。だって、嬉しいでしょう? 天にも登る気持ちになる。いただけば返信してその方の作品も読む。それが人情でしょう。Cさんのも読んでみますね……と。

 一方的な読者の場合もある。読んでも読んでも、感想送ってもお礼はあるけど、お互い様、にはならない。見当違い…‥なんてことは思わない。だって、ファンだもの。一方的なファンで充分。末永くファンでいたい。
 返信さえ来ない場合もある。考えに考えて勇気を出したのに……何故? 読んだろうか? 見ていないのだろうか? もったいないことを……なんて、見返りを期待してはいけない。

 


 
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