第364話 美意識を持て!

文字数 1,188文字

 最近あるユーチューバーの動画をよく見る。そのユーチューバーはある企業の経営者でもあるのだが、経営者として独り立ちしたばかりの頃はいわゆる“人を見る目”がなかったそうだ。経営者として経験を積みながら“人を見る目”が次第に備わってきたと言う。

 さて我が身を振り返って、私には人を見る目があるだろうか?私は採用する側に立ったことなど一度もない。よって、詳しいことは解りかねる。だが、採用側から見て一番重要視するのは最終的に信頼に足る人物か否かではないだろうか?無論、能力的なことは大事だ。でも、長いスパンで見た際、それ以上に大事なのはその人間性だと思う。それは何て言うか自明の事なのだ。
 
 ではその人間性を見極めるにはどうすれば良いか?それをたかだか30分の面接でなど私には到底できない話だ。ただ、ある一定の期間その人を見ていれば、次第にわかってくる事もある。私に言わせれば、それは交友関係に端的に表れる。人の信頼をたやすく裏切るような人間には、そもそも友達がいない。いたとしても上っ面だけの表面的な付き合いの場合が多い。

 そしてその手の人間の常として外見上はともかく、内面的な美意識に圧倒的に欠ける。それはそうだ。人並の美意識があったら「信頼」と言う尊い感情を踏みにじったりできない。では美意識って何なのか?そこまで来ると私はいつもこう思う。「結局、自分自身との戦いなのだ。」と。

 私事で恐縮だが、私は平気で人を裏切るような薄汚れた人間にはなりたくない。その意味において、私は誰よりも“自分自身のために”他人を裏切らないのだ。他人を裏切るという行為は、つまるところ自分自身を裏切ることに等しいのだ。どこまで自分自身を貫き通せるか?そういう事なのだと思う。

 でも、「そこまでして、そのごたいそうな美意識とやらを守って何かいいことあるの?」と問われれば困ってしまう・・・。ただ、例えば北野武さんが平気で他人を薄汚く裏切るような人間だったとしたら『HANABI』のような作品はとてもじゃないが残せないと思う。また、ノエル・ギャラガーが平気で他人の信頼を踏みにじるような人間だったらあのような楽曲残せないはずだ。
 
 偉そうなことを言うようだが、芸術って、感性ってそういうものなのだ。で、私のつづる文章にも“それ”は現れる。もっとも、もし欠片でもあればの話だが・・・。そして私の文章に興味を抱いてくださる皆さまにも“それ”はあるのだと思う。そこで共鳴する何かがあればこそ、読んでいただけるのだと理解している。

 で、最終的に何が言いたいかと言うと、美意識を持とうよ!という事か。私はそういう人間と付き合いたいし、“それ”を失っちまったら人としてお終いだとも思う。そんなわけで、窮屈にならない程度の美意識は必要だ。人として在りたいのであれば。と言うのが私の持論です。偉そうでごめんなさい(笑)
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