第49話 合理性と感情と

文字数 3,010文字

さあ、ボーイズ&ガールズ!現代社会の時間だよ!
今日は堀江貴文さんと民主主義について私なりの見解をのべるよ!
 「知ってる!ホリエモンでしょ?」
そうそう。
 「ライブドア事件で捕まった人だ~。」
そうだね。堀江さんが何故捕まって刑務所に入ったのかは「ケイザイ」とか「カブシキ」という言葉の意味が解らないと具体的に説明できない。みんなが高校生や大学生になって習う事だね。だからここではやらない。でも堀江貴文さんがどんな人で、どんなことを言っているかはみんなも十分わかるよ!そしてどうして捕まったかもおおよそはわかる。

私は堀江さんの書いた本をあらかた読んだんだけど、とっても面白かった。堀江さんは非常に合理的な人で、いわく最も大切なのは「時間」であって、自分の時間、つまり自分の人生を生きよ!
と当たり前と言えば、当たり前の事を言っている。
 「当たり前なのに何で面白いの?」
確かに、でも大人になるとその当たり前の事がしたくても出来ない人、忘れてしまっている人がたくさんいるんだよ。それはみんなも大人になればわかる。
で、本はとっても面白かったんだけど私には一つ疑問が残った。解りやすい例で言うね。
お寿司の職人さんっているよね。
 「回る寿司?握る寿司?」
もちろん握る方(笑)。私ももっぱら回る方だけど(笑)。でね、この握る方のすし職人って一人前、つまり自分で寿司を握れるようになるまで、下積みの修業に10年以上かかるのが当たり前だとされていたんだ。皿洗いや、飯炊きから始まり、お客さんの前で握れるようになるまでに10年以上はかかるってことね。でも堀江さんはこう言い切る「3か月で十分でしょ。」3か月学校で専門の勉強と研修を積めば十分寿司職人になれると豪語したんだ。本の中には実際3か月の修行で寿司職人になった若者が有名なガイドブックで星をとった例があげられている。
 「寿司って握るだけでしょ?確かに3か月もあればできるようになるんじゃない?」
確かにそう思ってしまうよね。でもそれを実行に移したのは堀江さんが最初なんだ。それはそれですごい事だし非常に合理的だと思う。でもみんな、なんか引っかからない?
 「確かに引っかかる!10年以上修行して星とれなかった人の立場が無いじゃん!」
そう、そうなんだよ!「たった3ヶ月の修行で星とりやがってあの若造め、俺の立場はどうなるんだ(怒)」って人がきっといるんだよ。
 「ホリエモンはなんて言ってんの?」
それについて堀江さんは触れていない。みんなはどう思う?これは単なる逆恨みになってしまうのかな?
 「気持ちわかる~。」
 「でも、3ヶ月の修行の方が安いんでしょ?だったらいいんじゃない!」
確かに客としては同じ味なら安い方がいい!でも10年修行した人にしてみれば納得いかないのもわかる話だよね。さて、堀江貴文さんの言う「合理性」と10年修行した職人さんの「感情」とどっちが大事なんだろ?
 「あたしは職人さんの味方。だってかわいそうじゃん!」
 「俺は3か月の修行で星とった方。だって安くてうまけりゃいいじゃん!」
さて、「合理性」と「感情」とどっちが大事か?意見の分かれるところだね。さっき言ったように堀江さんは10年修行した職人さんの感情については触れてない(意図的に無視したか、気づかなかったかはわからない)けど、堀江さんは著書の中でこういうことを述べている。歴史的なスパンで見れば、便利で安い方に人は引かれていく。3か月でできることを10年かける必要はないということを歴史が証明していると。
わかりやすく話すね。
 みんな編み物は出来るかな?昔の人はみんな手編みだった。でも、機械が発明されてそっちの方が安くて速い。品質も良い。同じマフラー、手編みと機械編み。安くて品質のいいのはもちろん機械。みんなだったらどっちを買う?
 「もちろん機械編み!」
そうだね。自分で誰かのために編むのなら話は別だけど、ふつう安くて品質のいい方を買うよね。でもそうすると困ってしまうのが・・・?
 「編み物職人の人たちだ!」
そうだね。それまで手編みで生計を立てていた人たちが困ってしまう。機械に仕事を奪われてね。そこで、手編みの職人たちがみんなで自分たちから仕事を奪った機械をぶっ壊そうという運動が起きた事もあるんだ。それでも機械の便利さにはみんなあらがえなかった。そういう意味では長い目で見ればきっと堀江さんに軍配が上がる。それは歴史が証明している。でもね・・・。
 「でも?」
四捨五入するなら半世紀(50年)をこの国で生きた実感として、日本という国は「和を以て貴しとなす」国なんだ。つまりみんなの感情を大切にする国なんだ。そういう意味ではやっぱり10年修行した職人さんの気持ちも大切にしなければいけない。
 「でも、それでは新しい発明とか、サービスとか、イノベーション?とか生まれないんじゃないですか?もしくは他の国に後れを取るんじゃないですか?」
いたいところに気が付いたね。それは確かにある。でもそれでも、仕方ないんじゃないかと思う。例えばこの国では病気になったら誰でも病院に行けるよね?それは国民皆保険制度っていって税金を納めていれば誰でも保険に入れる仕組みがあるからなんだ。でも、お金が無くて保険に入れない人、病院に行きたくても行けない人が大勢いる国だってある。そういうところも含めてやっぱりこの国はみんなを大切にする国なんだ。それは本当に得難い事だと思う。ただ・・・。
 「ただ?」
ただ、「合理性」と「感情」と言う視点で考えた時、どうしても気になってしまうのが先の戦争なんだ。軍部の一部の人たちの暴走や、それをあおったマスコミも悪かった、貧富の差や、社会情勢等の問題もあった。とはいえ、やっぱり多くの人たちが積極的にしろ消極的にしろ戦争に賛成していたんだと思う。感情面でね。もっと合理的に、例えば堀江さんの様に考えられる人がたくさんいたら、あんな戦争にはならなかったろうにと思うんだよ。
 「反対した人はいなかったの?」
もちろんいた。いたけどそういう人たちは特高警察と言うこわ~い人たちにとっつかまって刑務所送りだった。
 「先生だったら反対する?」
いやぁ、私はスタコラサッサと逃げ出すね。
「反対しないの?」
「卑怯だな~。」
いいんだよ。誰かの期待に応えるために自分を犠牲にするのはもうコリゴリだ。
それにね、誰かが何とかしてくれる。そう思って誰かに期待して、期待通りにうまくいけば勝ち馬の尻にのって、期待通りに行かなければそ知らぬ顔で日常に戻る。それって虫が良すぎないか?
何かが間違っているとか、何かを変えようとか思うなら、他人に頼ってはいけないんだよ。自分の意思を持ち、自分の頭で考えなければ!他人任せにしない、他人のせいにできない。それが民主主義ってもんだよ。
「ミンシュシュギ・・・。」
「今日の先生なんかカッコいい。」
よせやい、いつもだろ(笑)!
そんなわけで、今日は堀江貴文さんと民主主義について、「合理性」と「感情」という視点から考えました。みんなはどう思う?「合理性」と「感情」。難しい問題だね。でもむつかしいからこそ考える価値があるんじゃないかな?
じゃあ今日も

頭洗えよ!歯磨けよ!それでは!

※この文章はフィクションです。間違っても真に受けたりしないでください。
※堀江貴文さん、もし引用の面で失礼がありましたらお許しください。
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