第156話 発見

文字数 907文字

「あった!」丸二日間、行方不明だった財布を私はそこに「発見」した。そこと言うのは新しい職場の机の引き出しの中で、最近転職した私は、先日顔合わせと自己紹介が済んだ後、入れておいたのを忘れて帰ってしまったのだ。しょっぱなから大失態だ。これでは不注意な奴と言うレッテルを自ら貼ってしまったようなものだ。まあ、不注意なのは確かで、それは今に始まったことではないので仕方ないと言えば仕方ない。いや、仕方ないで済まされないのが社会人で、私事とはいえ、今後はこの失態を取り返せるよう鋭意努力しなければならない。つまり神経をとがらせねばならない。どうも私は昔からこの手のミスが多い。傘を置き忘れることはしょっちゅうだし、時には自分自身をどこかに置き忘れてしまう。そう、思い出の中とか・・・。冗談は良いとして、いわゆるケアレスミスが多いのは確かだ。確認すること自体を忘れてしまう。こんな調子では先が思いやられる。40を越してダメな自分再「発見」だ。やれやれ・・・。    
 そもそも前職にフィットできなかったのも元はと言えばこの不注意さが原因の一つだ。そうなのだ。社会人である以上、求められたことに忠実に応えられればそれでよい。余計なことはできなくてもよいのだ。私がブログを初めてもうすぐ5年。前職で一緒だった方々の中には「ブログでたいそうなことなど書いている暇があったら、言われたことをミスなくこなせ!」という思いがあったのかもしれない。もっともブログをしていようがいまいが、ミスはしただろうし、「あくまでブログは一市民の自由な表現活動であり、仕事とは関係ない。」と言ってしまえばそれまでなのだが・・・。ただそれが面白くない人もいたのだろう。それもまた確かだ。とにかく新しい職場では「この人がいてよかった。」と思われるようにならなければならない。居場所を創るとはそういう事だ。その為にはまず、ひとつひとつ期待に応える必要がある。期待に応えることがやがて信用になる。信用を積み重ねることがやがて評価につながる。「この人がいてよかった。」という評価につながるまで頑張らねばならない。そこでこれまでとは違った自分を「発見」できるように。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み