第258話 尊い感情

文字数 1,083文字

 どうでもいい話かもしれないが、私はこの年45歳になるまで、恥ずかしながら?キャバクラなるものに行った事がほとんどない。ほとんどと言うのは一度友人に連れられて熟女パブなるものに行った事があるからだ。でも一向にリラックスする事が出来なかったのを憶えている。
それを生業とする人、心の拠り所とする人に対しては失礼極まりない。でも敢えて言わせてもらうと、私はこういうのがどうも苦手だ。愛情、優しさ、いたわりと言った尊い感情をお金に換算するという行為そのものが、どうも好きになれないのだ。だったらサービス業全部そうじゃないか?と言われればぐうの音も出ないのだが・・・。ただ先にあげた感情はどれも人として尊い大切なものではないか?その感情をカネに換算するなんて、何か悲しくはないか?寂しくはないか?と思う。そういう思いが根底にあって、私はいわゆる風俗やキャバクラなるものに一定の距離を置いてきた。今でもそれは変わらない。卑近な言い方を知るなら「食わず嫌い」だ。高尚な言い方をするなら「自分を裏切りたくない」のだ。ただ、食べてみたら意外に美味しく、それ以来病みつきになった。なんてこともある。同様に「一度自分を裏切ってみたら、他人を裏切るのを何とも思わなくなった」なんてこともあるのでは・・・・?多分その辺を私は本能的に察知して恐れているのだと思う。自己分析。
 こんな事を書くと「裏切り裏切られるのが人間だよ。社会勉強が足りなんじゃないか?この甘ちゃんが!」とお叱りを受けるかもしれない。でも甘ちゃんでいいと思う。信頼とは私にとって最も尊い感情であって、それに手垢をつけるような真似は絶対にしたくない。裏切り裏切られるのが「成熟」した人間の在り様だというのなら「成熟」なんかクソ食らえだ。
 私の父はこれと言って才走ったところのない人間だが、事、人倫に関してはこれでもかという程に正論を吐く。昔は「世の中そんなに単純なものじゃない。何て融通の利かない親父だ。」と思っていたが、最近、私はそんな父を再評価している。どうも私の“青臭さ”は子の親父に似たものらしい。人間何か取り柄があるものだ(笑)。
 
 さて、皆さんはどうだろう?尊い感情。手垢をつけてはいないだろうか?出来る限り大切にしたいものだ。ただ、いやでも手垢をつけねばならない時と言うのもあって、多分それは「孤独」と対を成す。その意味でもやはり家族って大事なのだ。改めて思う。きっと「幸せ」の鍵もその辺りにあるような気がするのだが・・・。

 とにかく、何が言いたいかと言うと「俺はキャバクラは嫌いだ」と。ただそれだけの男なのです。
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